2023年3月24日、バリ島内で最も新しく最も大きいショッピングモール「リビングワールド」がオープンしました。

場所は、旅行で来られる方におなじみの観光エリアからは離れた、ローカルの町「デンパサール」、その中でも北側に位置する新興商業エリアです。
「デンパサール」というと、バリ島の国際空港「デンパサール空港」が思い浮かびますが、実際は空港のある場所は実はクタで、ホンモノの「デンパサール」の町はバリ島の中心部、西海岸クタ側と東海岸サヌール側のちょうど真ん中辺りです。
ローカルの中心都市で、島内最大級のローカル市場街やローカル百貨店、官公庁、各国領事館、インドネシア国内大手企業のバリ州本社や支社など、バリ州の基幹産業都市となっています。
また、広大なサイクリングロードを備えた公園や各種スポーツのコートを備えた運動公園、ローカルの高級住宅街などもあります。
町としての面積が広く、デンパサール市内でも様々なエリアがあります。




今回その大ショッピングモールができたのは、そんなデンパサールの中心地よりも北側の新興商業エリア。
ショッピングモール周辺はまだジャングルのような荒地ですが、通りを少し行くと、マクドナルドやKFC、JCOドーナッツといったインドネシアの人気飲食店チェーンの新店や銀行、トヨタなど自動車ディーラー、ローカルの若者が集う大型クラブなどが並んでいます。

写真はオープンから1か月経った4月のものですが、まだ工事中の店舗も3分の1以上という状態。
その点はいかにもバリ島らしいですが、それでも施設全体として、現在のインドネシアの経済パワーをすでに十分に感じさせる贅沢なつくりです。




このショッピングモールのターゲットは、立地からも分かるように、外国人ではなくインドネシア人。
入っているテナントは日本発のブランドや海外ブランドが面積の半分以上を占めていますが、各店の商品ラインナップは、インドネシア人、それも、イスラム圏を強く意識されていることがわかります。

例えば、衣料品でいうと「ユニクロ」店頭の最も目立つ場所に、「ヒジャブ」(イスラム教徒の女性がかぶっているスカーフ)を着用したマネキンが並んでいたり、飲食でいうとトンカツの名店「キムカツ」のメニューに豚カツはなく、牛カツとチキンカツであったり。
もしバリ島ローカルをターゲットとするならば、バリ島民の80%といわれるバリヒンズー教徒の食に合わせて豚を採用し、牛は不採用となります。
それが、豚なし、牛採用という点で、イスラム教徒の多いジャカルタ等からバリ島を訪れる国内の観光客がターゲットであることは明白です。




また、インテリア・生活雑貨中心に出店している「ACE」では、広いキッチン用品売り場であるにも関わらず、ワイングラス等お酒を楽しむための商品の取り扱いはありません。
ショッピングモールのオープン時期もイスラム教の断食期間ラマダン・レバラン中、すなわちイスラム教徒の長期休暇時期でした。
レバラン時期のバリ島は毎年、ジャカルタはじめインドネシア国内各地からやってくる観光客で賑わいます。

テナントには、「ユニクロ」、「キムカツ」のほか、たこ焼きの「銀だこ」、カレー店「ゴーゴーカレ」といった日本ブランドや、日本風のテナントが多く、インドネシアにおける日本ブランドのポジションがうかがわれます。




圧巻は、バリ島の太陽をイメージして、太陽光を取り入れた巨大な吹き抜け。そして、巨大なフードコートです。
真ん中には、インドネシア各島の郷土料理の店が、屋台村風に配されています。
インドネシアの、海に囲まれた島々をイメージしたらしい池(っていうのか?)に囲まれるようなデザインになっています。
インドネシア各地の料理をここで一挙に楽しめるのは面白い企画です。
価格は意外にもかなりリーズナブル。
インドネシア経済の成長を肌で感じさせられるという意味で、大いに驚かされるショッピングモールが登場しました。



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