昨今、「環境に配慮」「持続可能な開発」といったキーワードがすっかり定着してきた中、フランスの車窓もそれを反映するように常に移り変わっています。
 パリとブルゴーニュ、そしてリヨンのあるオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方を結ぶ幹線道路と線路沿いに時折現れるエオリアン(風車)もまたそんな時代の流れを感じさせるオブジェといえるでしょう。

 エオリアンは風力発電の為に建てられている風車です。
 ぼんやりと車窓の風景を眺めているとひょっこりと数台現れ、数秒後には複数基が曲線上に並んでいる全容が明らかになります。
初めて見るときは、のどかな田舎の草原に建つ近未来的風貌にちょっと目が覚めるような光景です。
そして近づくにつれ、その1基ずつがかなりの高さと大きさであることを実感していきます。
時折3本の羽根、というよりバーが回る様子はなかなかの迫力です。




 車内にいると分かりませんが、実は「外に出ると風が吹いている間中羽根が回る音が鳴っているんだよ」とはフランス人の運転手さんのお話。
 またぶどう畑とその景観がユネスコの文化遺産に登録されているブルゴーニュのぶどう栽培者の中には「エオリアンができたら伝統的なぶどう畑の風景が失われる」と心配する声もあります。

 「フランスは川がたくさんあるのだし、水は勝手に湧いて流れているからダムを増やせばよいのに」という声も聞きます。
しかしこちらも工事費等々なかなかのものであろうことは想像に難くありません。
 風力、水力の他にも地熱、メタン化といったワードも耳にしますが、そんな変わりゆく風景を眺めながら一般庶民は日常生活を続け、光熱費をいかに安く抑えられるか、工夫を続けていくことに忙しい日々です。


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