冬のぶどう畑。
時に深い霧にすっぽりと覆われ、全ての葉を落とした背の低いブドウ樹が広がる風景を目の前にすると、寒々しい中にも澄んだ空気に肺の中が浄化されるようです。
冬の間ワイン生産者はワインの醸造・熟成はあってもぶどう畑の仕事はお休み? と思いきや、そうでもないようです。




 畑の間を伸びる道を歩いていると、処理を待つ剪定された枝の束や、使命を終えた支柱がまとめて置かれています。
そして畑には翌年にブドウ樹をかける針金を支える支柱を取り替える栽培者や、土の成分のバランスを整え補う為の製品が積まれたトラックが見えます。




 このようにブドウ栽培・ワイン生産者は何かと冬も忙しく働いています。
とりわけこの2023年から2024年にかけての冬は通常の作業に加え、ヨーロッパ規模の様々な規制や国の政策に危機感を抱いたぶどう栽培者を含む農業従事者たちがトラクターを使用したデモ行進を展開したことも手伝い、なかなかの多忙な冬だったに違いありません。
 写真の日は天気も良く、 土の手入れ日和ということで、あたりは天然素材を使用した肥料の香りがふんわりと風に乗って漂っています。




 剪定されてサイズが半分以下に小さくなったような冬眠中のブドウ樹。
これが数カ月後には新しい枝を生やし、畑一面緑の葉で覆われる姿になるかと思うと、つる科植物の生命力の神秘を感じずにはいられません。
 写真中、ぶどう樹を含む植物で見事なデザインを描いている屋根は、世界的に有名な メゾン・ボワセの醸造所。
夏の太陽の熱を土と植物で和らげるエコロジーなシステムを備えた屋根のアート作品はまた、畑仕事をする人々の疲れを少し癒してくれることでしょう。



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