パン&ケーキ屋さん(Boulangerie et pâtisserie)で時折見かけるカシシンヌ(Cassissine)。
これはどういうお菓子ですかと聞くと、「カシスのプラリネのタルトだよ」との答えが販売員の御婦人の留守を守っている職人さんから返ってきました。
「プラリネ」というと砂糖を煮詰めてキャラメル状(ペースト状)にしたもの。
なるほどこのタルトは大口を開ければ3口くらいで簡単に食べられそうな大きさですが、しっかりとした甘さがあるので食べごたえがありますし、ほんのりとしたカシスの酸味が味わいを華やかにしてくれます。
この濃厚な味をタルト生地がリッチなバターでしっかりと受け止め、サクサクとした食感がプラリネととても良く合う一品です。




 ところで「カシシンヌ」というと、パート・ドゥ・フリュイ(フルーツゼリー)のそれの方が恐らく本家でしょう。
これはカシス果汁をたっぷり使ったゼリーに砂糖をまぶしたもので、中心にはシロップ状のカシスが入っています。
カシスリキュールも少量使われており、品のあるブルゴーニュ土産の1つ。

 この「カシシンヌ」ことカシスのパート・ドゥ・フリュイができたのは1901年のこと。
当初は創ったお菓子のメゾン(Duthu)の名前とカシスを合わせてCassiduthu (発音は恐らく「カシデュテュ」)と呼んでいたとか。
その後 1920年代にこの「カシシンヌ」という名前になりました。

 パティシエたちの飽くなき努力のおかげでスイーツの楽しみとチョイスはこれからもますます増えていくことでしょう。


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