国鉄ベルフォール駅から徒歩で30分程商店街から住宅地も通り北東にいくと、なみなみと水をたたえた池のほとりに辿りつきます。
フォルジュ池「Étang des Forges」です。
市のサイトなどでは「フォルジュ」の綴りの1文字目が大文字になっているので固有名詞ということになりますが、フォルジュは「鍛冶屋」を意味します。
敢えて訳すと鍛冶屋たちの池、「鍛冶屋池」としておきましょうか。
池というと印象的には直径数十メートル程度のものもあるはずですが、この鍛冶屋池は34ヘクタール。
サッカーコートが約0.7ヘクタール(FIFAのサイト情報)だそうですから、知らなければ「湖」と言っている広さでしょう。
この池が中世時代に造られた際は水不足の備えが目的だったそう。
その後池の水は鍛冶場の作業に使われるようになった為にこの名がつきました。
恐らく水は水車による動力として使われたのでしょう。
池を一周する4.2kmの道の遊歩道沿いの複数個所に「自然環境を守る為にご協力を」、という看板が立てられているのが目につきます。
その成果か、様々な鳥のさえずりが聞こえ、うっそうと茂った植物の種類に思わず足をとめてしまうほどです。
また池の周囲も牛がのんびりと寝そべっている牧場や野原が広がっており、一角はキャンプ場という環境。
夏の兆しが見え始め、戦勝記念日や昇天祭といった祝日が多い5月は既に複数台のキャンピングカーが、割り当てられた区画におさまっているのが木々の合間から垣間見えます。
人口の緩やかな減少や失業率も多少の改善があるものの、全国平均よりまだ少し高い数値というベルフォールですが、街はそんな状況を打開しようという雰囲気が感じられます。
これまで複数路線のバスの乗り換え場所に休憩用のベンチがいくつか、という雰囲気だったリパブリック広場は大改装工事が終了、見通しが良くなりモダンなベンチが増えました。
そして地面から直に優しく噴き出される噴水(この数年ブルゴーニュ・フランシュ・コンテで流行しているらしい)の周囲を子供たちが遊びまわるという憩いの場に変身したのです。
また町の観光スポットの1つであるモダン美術館の新しい建物も2024年秋に完成予定。
こんな変身を続けるベルフォールの街を今日も大きなライオン像が城塞の丘から見守っています。
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