フランスでは春の訪れと共に大小の街でフリーマーケットが開催されたり、道端に不要になった本を置き、気に入った本があったら自由に持って行けるボックスが設置されていたりします。
そんな環境のせいでしょうか、いわゆる「古本屋」はあまり見かけません。
それでも時折「古書屋」と呼びたい店がひっそりとたっています。
ブルゴーニュ地方のとある小さな街にある古書屋の店頭には昔のドラマのセットに出てきそうな古い装丁の本たちが。
日光にさらされているところからすると歴史的価値は低いものなのでしょう。
そんな店頭からふと見上げたら、歴史案内のプレートが貼ってありました。
「ルイ、アルチュールそしてガストン シュヴロレ、自動車のパイオニアがこの建物に19世紀末住んでいた」
とあります。
「シュヴロレ」というのは「シボレー」のこと。
どうやらアメリカ人に「シュヴロレ」の発音が難しいため、「シボレー」の発音が定着したようです。
「シェビー」という略称まで付いていたことからは、アメリカ人からとても親しまれたブランドだったことが伺えます。
シボレーといえば車に詳しくない人でも聞いたことがある、世界的に有名なアメリカのブランド。
そしてプレートにあるルイとアルチュールそしてガストンの3兄弟はスイス人です。
ですが彼らが子供だった時、財政的に困窮していた父親は生活の改善を目指してスイスからお隣の国、フランスのブルゴーニュに移住してきました。
ヨーロッパの静かな街で育った後、この3兄弟がアメリカで世界的にその名をとどろかせたことを考えると、3兄弟の絆や強い意思が伝わってきます。
古書屋を見ると、子供時代のシボレー兄弟はフランスでどんな本を読んでいたのか、興味が湧いてきます。
Copyright(C) wowneta.jp