今でこそ人口1万人超の小さな町ですが、コーリは古代から交通の要衝でした。
多神教の時代の寺院跡が数多く残るほか、教会のフレスコ画の見事さからも、中世の町の繁栄がうかがえます。

町の郊外にあるアヌンツィアータ聖堂は、15世紀の創建。
当時、ナポリを統治していたスペイン王国の影響で、スペイン人の枢機卿たちの注文によって建てられたのだそうです。
小さな聖堂ですが、見事なのはフレスコ画。
旧約聖書の創世記、イエス・キリストの生涯などが、壁から天井にいたるまで隙間なく描かれており、保存状態も良好です。




遠近法などは稚拙なところもあるのですが、中世らしさあふれる作風は、一説にはマゾリーノ・ダ・パニカーレ一門の可能性があるとも言われています。
厳格なカトリック信者であったスペイン人による聖堂であるため、カスティーリャ王国の王冠が描かれているほか、「スペイン人の創建によるこの建物を見た者は父なる神を想起せよ」というラテン語も残ります。

聖堂は通り過ぎてしまいそうに小さいのですが、付属の庭園もあります。
庭園からは、山肌に広がるコーリの町を望むことができます。



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