オーストラリアに住んで、驚くことがよくありますが、お産もその一つです。
医療については日本もオーストラリアも先進国なので、多少のシステムが違っても医療方針は大きくは変わりません。お産もそういう目で見れば、たいして変わりません。ただ、全てがアバウトです。お産は病気じゃないということが基本なのでしょうか。まず、超音波検査は通常の妊娠では2回のみです。体重を測ったのは最初の1回だけ、血液検査も2回だけと、ほぼ検診のたびに全てを行う日本とは大違いです。
お産当日は病院に電話をしてから向かうと思いますが、それはこちらも同じです。しかし、初産の場合は陣痛の間隔が5分になっても、「まだ早い」と言われます。無視して病院に行っても、場合によっては一度、家に戻されるそうです。身内が電話をした場合は、必ず妊婦を電話口に出させます。助産婦と余裕に話ができるうちは、まず「まだ!」と言われるのです。確かに、初産は陣痛の間隔が狭くなってからも、産まれるまでに時間が相当かかりますから、病院に行ったところで何もできません。それでも、こっちは初めての経験ですから、早く病院に行きたいものです。
病院に着くと、日本では家族が付き添うかどうか選択をするでしょうが、オーストラリアは付き添うのが当たり前です。そして、産まれた赤ちゃんのへその緒を切るのはパパの役目!日本人夫はかなり拒絶していましたが、結局押し切られていました。あの間隔は忘れられないそうです。
生まれた赤ちゃんはというと、出てきてすぐにママに抱かせてくれます。最初のおっぱいタイムです。いわゆるカンガルーケアです。これも選択でなく、普通にされています。ただもう感動です。後陣痛なんて、赤ちゃんとの対面で気にならないぐらいです。そして赤ちゃんを抱きながら後の処置を受けます。
感動の対面も終わり、落ち着いた頃に、助産婦さんが食事を運んできてくれます。赤ちゃんは助産婦さんに託されて、産まれてすぐのチェックを受け、綺麗に毛布にくるまれます。
ここまでは、耐えれるかむしろ有り難いケアでもあるのですが、この後が一番びっくりしたことです。自分にある全てのエネルギーをお産に使い果たし、起き上がることもままならない今、したい事といえば、無事に生まれてきた赤ちゃんに感謝をしながら休むことです。そんな時に、「シャワーを浴びてらっしゃい」と言われます。思わず「どうやって???」と聞き返しましたが、意味が通じないようです。「だって、立てないわ!」歩く自信がないし、まだ痛みはあるし、そんな無茶なという感じです。「旦那さんがいるじゃない!大丈夫よ!」と車いすを用意されましたが、会社員の旦那が何の役に立つわけもなく、後は地獄でした。
2回目のお産ではシャワーに備えたバッグを事前に準備し、パッドも下着に装着済み、上から順序良く取り出せばいいようにセッティングをしました。シャワーと言われなければいいなという願いも叶わず、シャワーの時間は訪れました。2回目は旦那でなく、手際の良い学生さんが付いてくれたので、かなり楽に済ますことができ、何度もお礼を言ったほどです。
3回目ともなると、シャワーバッグの準備はしつつも、断ることを密かに企んでいました。病院は違っても、やっぱり「シャワーにどうぞ」と軽く言われました。「NO‼ 」2度は引き下がってくれましたが、3度目は負けました。助産婦さんは心配だったのか、シャワー室まで同行し、私のシャワーバッグの準備の良さにびっくりされました。
とにかく体力が日本人とオージーでは全然違います。オージーは産後すぐに歩き回る元気があります。見舞客に紛れて一体誰がお母さんなのかわからないぐらいに元気です。観光で来て、出産を経験することはないでしょうが、オーストラリアで出産する友人がいたら、順序良く取り出せるシャワーバッグは入院時の必需品だと教えてあげてください。
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