
「ブラーヴォ!」と聞くと、日本ではコンサートやオペラの終演後、素晴らしい演奏に向けて掛ける言葉というイメージが強いかもしれない。
ところが本場イタリア語の「bravo」は、誰に向けても同じ形を使う言葉ではない。
褒める相手が男性なのか女性なのか、一人なのか複数なのかによって、「bravo」「brava」「bravi」「brave」と形が変わる。
■ 男性一人なら「Bravo!」
神奈川県を舞台にしたオリジナルBLアニメ『秘密の輪舞曲(ロンド)』第1話にも、この言葉が登場する。
大学のカフェで偶然出会った大学生・朝倉悠真と、イタリア出身の実業家アレッサンドロ・ロッシ。
クラシック音楽について話していた悠真が、「音と色って似てると思うんです」と自分なりの感覚を語ると、ロッシは、
「ブラーヴォ、だ。今の話し方、色を語る時の君の目、まっすぐでいい」
と悠真を褒める。
この場面で「bravo」なのは、褒められている悠真が男性一人だからだ。
▶ 関連:秘密を抱えた大学生と年上の実業家を描くBLアニメ『秘密の輪舞曲』
https://www.wowkorea.jp/woman/read/156798.html
■ 女性なら「Brava」、複数なら?
イタリア語では、相手によって次のように変化する。
男性一人 Bravo!
女性一人 Brava!
男性だけ、または男女混合の複数 Bravi!
女性だけの複数 Brave!
たとえば女性歌手の素晴らしい歌に対してなら「Brava!」、男性だけのグループなら「Bravi!」となる。
日本では相手に関係なく「ブラボー」と言うことが多いが、イタリア語では「bravo」が形容詞として相手の性・数に一致するため、この違いが生まれる。
■ 舞台だけで使う言葉ではない
「Bravo!」は、コンサートホール専用の言葉でもない。
イタリア語では、何かを上手にできた人を褒めるときにも使われる。
たとえば料理が上手な人に対して「Sei bravo a cucinare(料理が上手だね)」と言ったり、何かをうまくやり遂げた相手に単独で「Bravo!」と声を掛けたりすることができる。
つまり日本語の「すごい」「上手だね」「よくできた」といった言葉に近い場面でも登場する。
■ 性別を気にせず使える「Complimenti!」
では、相手に合わせて「bravo」なのか「brava」なのか考えるのが難しい場合はどうするのか。
そんなときに使いやすいのが「Complimenti!」。
「おめでとう」「素晴らしいですね」といった意味で、成果や演奏などを褒める際に使える表現で、「bravo」のように相手によって語尾を変える必要がない。
旅行中に誰かの演奏や作品を褒めたくなったときにも覚えておきやすい言葉だ。
■ たった一言にもイタリア語らしい仕組み
日本でもすっかり耳になじんでいる「ブラーヴォ」。
しかしイタリア語として見てみると、男性一人なら「bravo」、女性一人なら「brava」と、相手によって姿を変える言葉だった。
外国語の台詞は意味だけを訳してしまえば終わってしまうが、なぜその形になっているのかを知ると、その人物が誰に向かって話しているのかまで見えてくる。
次に「ブラーヴォ!」という声を耳にしたときは、褒められているのが誰なのかにも注目してみると、少し違って聞こえるかもしれない。
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