セビリアから車で20分ほど走ったところにあるコリア・デル・リオ(Coria del Río)という町は、日本とゆかりが深いことで有名です。この町にはスペイン語で日本を意味する「ハポン(Japón)」という名字を持った人が多く住んでいるというのです。気になった筆者は実際に訪れてみることにしました。
コリア・デル・リオは住人が3万人ほどの小さな町です。訪れた日は天気のいい日曜日だったので、グアダルキビール川沿いの公園は小さな子供を連れた家族で賑わっていました。そんな公園を進んでいくと突然現れたのが侍の銅像です。
この銅像は仙台出身の支倉常長(はせくらつねなが)。当時の戦国武将であった伊達政宗は、スペインとの国交と教宣教師の派遣願を申し出るため、1613年に家臣である支倉常長を大使として慶長遣欧使節をスペインに送りました。支倉らは約1年かけてスペインに到着し、このコリア・デル・リオの町に滞在していたのです。支倉常長の銅像は1992年に宮城県が寄贈したもの。銅像には日本語とスペイン語で歴史が記されていました。
慶長遣欧使節としてスペインに行った日本人は26人、そのうち17人は日本に帰国し、残りの9人に関しては記録が残されていませんでした。しかし、近年の調査によると、その9人はコリア・デル・リオの女性と結婚して家族を持っていたために、スペインに残ったと言われています。
支倉らがスペインに滞在している間に、日本では禁教令が出されるなどキリスト教の弾圧が始まっていたため、キリスト教であるスペイン人の妻を連れて日本に帰国することができなかったのです。
コリア・デル・リオに残った9人に関しては、日本の名字はスペイン人にとって覚えにくくてややこしいということで、すべて日本を意味する「ハポン(Japón)」に統一されたといいます。その日本人たちの祖先は今でも「ハポン」という名字を受け継いでいるのです。現在、この町には700名以上のハポンさんが住んでいます。
コリア・デル・リオの町中を歩いていると、店の名前がカタカナで書かれていたり、町役場の前には日本の国旗が掲げられていたりと、あちらこちらに日本の要素がちりばめられていておもしろかったです。日本人らしい顔つきの人はひとりも見かけませんでしたが。
古くから日本とスペインはつながりがあったのですね。
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