スペインでは、新型コロナウイルスの大きな被害を受けており、3月14日から全国で行動制限が実施されています。そんな中、スペイン南部の小さな村では、ウイルス感染予防のため独自の対策をとっています。

人口1400人ほどの村サハラ・デ・ラ・シエラは、アンダルシア地方に典型的な、丘の上に建てられた中世の城砦都市です。オリーブ畑に囲まれた昔ながらの街並みを見ようと、普段はドイツやフランスから多くの観光客が訪れます。

この村では、3月14日をもって、村の外とつながる道路を、物流のためのひとつのゲートを残してすべて閉鎖しました。唯一オープンしているゲートには3人の村人が待機しています。ひとりは警察官、あとの二人は物流トラックを消毒する役目です。物流トラックが村に入る前にゲートでいったん停車させ、車体とタイヤの消毒をします。また、週2回、10人ほどのボランティアの村民が、村中の道や建物を消毒して回ります。村長によると、この消毒の殺菌効果は20~80%なので、完璧に殺菌されるわけではありませんが、65歳以上が人口の約4分の1を占めるこの村では、住民たちの恐怖心の軽減、安心感につながっているといいます。

外出する人の人数を制限するため、食料品や衣料品などの生活必需品の購入は、2人の女性が担当しています。必要なものがあるときには、この女性たちに連絡をすると村の中にある店で購入して家まで届けてくれるのです。特に感染リスクの高い高齢の住民たちには非常に評判が良いとのことです。

また、自分で料理をすることが困難な高齢の住民のために、村の女性たちが料理を作り、家の前まで届けるというボランティアサービスも行なっています。さらに、家の外で遊べない子どものために、音楽とライトを装備した車が村の中を走り、子どもたちはベランダからそれを見て楽しむことができます。

近隣の村や町では、感染者や死者が報告されていますが、サハラ・デ・ラ・シエラではこれらの徹底的な管理によってまだひとりも被害者は報告されていません。この危機的な状況を乗り越えようと、住民たちが協力して毎日を過ごしています。小さな村だからこそ実現できる取り組みですね。


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