【2022年12月1日加筆修正】2022年12月現在、ボロブドゥール寺院は封鎖され、上階への立ち入りが禁止されています。サンライズツアーも実施されていません。開放時期は未定です。遺跡を外側から眺めることはできます。
ボロブドゥール遺跡の歴史
ボロブドゥール遺跡は、シャイレンドラ朝のダルマトゥンガ王の統治下で780年頃から建設が始まったとされています。しかし、ヒンドゥー教信仰が強まるにつれて、忘れ去られ、密林に埋まります。
空白の1000年を経て、1814年にイギリス東インド会社のラッフルズが再発見したのを機に、徐々に発掘が進められました。1973年から10年の歳月をかけて修復され、1991年には、「ボロブドゥール寺院遺跡群」として世界文化遺産に登録されました。その後、インドネシアが世界に誇る観光スポットに。
寺院? 王の墓? 多くの謎に包まれた遺跡
ボロブドゥールは「寺院」といわれていますが、内部空間を持たないのが最大の特徴で、王の墓もしくは廟である可能性もあり、実は何であるかがハッキリとはわかっていません。ボロブドゥール遺跡の総面積は約1.5万平方メートルあり、平原の中央の丘に盛り土をしてつくられているのです。
構造は全9層にまたがっており、まるで階段ピラミッドのようなつくりになっています。9層は基壇1層、方形壇5層、円壇3層からなり、仏教の「三界(欲界・色界・無色界)」を表しているとか。
世界最大級のストゥーパ
この遺跡は世界最大の世界最大級のストゥーパ(仏塔)でもあり、全72基のストゥーパは、釣鐘状の部分が格子で、中に安置された仏像を拝むことができます。
見事なレリーフと巨大な曼荼羅という説もある仏像
方形壇の51の回廊には、インドのグプタ美術の影響を受けた仏教神話のレリーフやインド神話の伝説の鳥獣のほか、仏教神話の人物が刻まれています。仏像彫刻は504体確認されており、これ自体が巨大な曼荼羅という説も。
2020年2月から上層部への立ち入りが禁止に
そんな謎多きボロブドゥールですが、2020年2月から期間未定で、9層と10層部分の回廊への一般観光客の立ち入りが禁止になりました。
その理由は、観光客による遺跡の最上部分への落書きやタバコのもみ消した跡、彫刻の表面剥離、石の隙間にゴミや吸い殻をねじ込んだ痕跡が散見されたからです。写真撮影のためにストゥーパによじ登ったり、仏像に触れたりするケースも多かったとのこと。
また、一大観光スポットとして世界中から多くの観光客が訪れ、回廊を歩くことにより床部分が傷んでいたことから、修正のための調査を目的としている部分もあるそうです。2022年11月現在、遺跡の保全のため、1日あたり最大1,200人の入場制限も。
遺跡観光のマナーを守らない人が増え、上層部への立ち入りが禁止されたのは、残念でなりませんね。遺跡に限らず、マナーをしっかり守って観光したいものです。
8層からも美しい朝日を眺められる
ボロブドゥールの美しい景色といえば、朝日。霧と朝日の中の遺跡が幻想的で大人気です。9層と10層へは入れませんが、現在、立ち入り可能な8層からも十分に美しい朝日を拝むことができます。
ボロブドゥール遺跡へのアクセス
インドネシアの古都「ジョグジャカルタ」からボロブドゥール遺跡までは、市南部のギワンガンバスターミナルから中距離バスで1時間半ほど。また、ボロブドゥール遺跡周辺のホテルに宿泊すれば、徒歩やレンタルバイクでもアクセス可能です。
加えて、ボロブドゥール寺院から東に約1.5kmの場所には、「パオン寺院」、約2km離れた場所には、「ムンドゥット寺院」もありますので、あわせて観光に訪れたいですね。どちらも世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」に含まれています。
ボロブドゥール遺跡
住所:Jl. Badrawati, Kw. Candi Borobudur, Borobudur, Kec. Borobudur, Kabupaten Magelang, Jawa Tengah, Indnesia
電話番号:+62293788266
開園時間:7:00〜16:30(2022年12月現在)
外国人入場料:25米ドル(10歳以上)、15米ドル(3歳以上10歳未満・学生)
公式サイト:https://borobudurpark.com/temple/borobudur/
[参考]
世界遺産オンラインガイド
JB press
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