米スポーツ専門局ESPNによると、水原氏は違法なスポーツ賭博に関与し、負けによる借金を返済するために大谷選手の資金から数百万ドルを流用した疑いがあるという。球団は解雇の事実を認めた一方、解雇の理由については明らかにせず、「現時点でこれ以上のコメントはない」としている。
米紙のロサンゼルス・タイムズによると、疑惑は西部カリフォルニア州のブックメーカー(賭け屋)に対する捜査当局の調べの過程で浮上した。ESPNは、大谷選手の銀行口座からこの賭け屋に少なくとも450万ドル(約6億8000万円)の送金があったと伝えている。米国では多くの州で試合の勝敗などを予想するスポーツ賭博が認められているが、カリフォルニア州では合法化されていない。
水原氏は北海道出身の39歳。幼少期にロサンゼルスに移住し、米国の大学を卒業した。2012年からプロ野球の日本ハムで外国人選手の通訳を務めた。日本ハムに所属していた大谷選手が2018年に大リーグのエンゼルスに加入したのを機に大谷選手の専属通訳となった。今オフ、大谷選手のドジャース移籍に伴い、水原氏もチームを移った。これまで、通訳のみならず運転手や練習相手なども務め、公私にわたって大谷選手を支えてきた。パドレスとの開幕シリーズのために訪れたソウルでも通訳を担当。20日の開幕戦後にドジャースのクラブハウスで行われた囲み取材でも大谷選手の横に立ち、通訳を務めていた。
韓国では大谷選手とともに水原氏も人気で、今月15日、開幕戦に向け韓国のインチョン(仁川)空港に到着した際には、ファンから「レッツゴー大谷!」の声援とともに、水原氏へも「イッペイ、イッペイ!」と声がかかった。
21日、水原氏の違法賭博疑惑に関するニュースが報じられるや、開幕戦開催地の韓国にも衝撃が走った。朝鮮日報は「一平は大谷が大リーグに進出してから今まで通訳を務めており、ほとんどの日程を共にし、『影の通訳』と呼ばれ大谷と親しい姿を見せていた」と水原氏が大谷選手に最も近いパートナーとして働いてきたことを改めて解説。中央日報も「一平は大谷が大リーグで選手生活を送る間ずっと一緒だった。野球場へ移動する際に運転したり、病気になったときに看病したり、親密な関係だった」と伝えた。報道があった21日は開幕シリーズ第2戦の日で、一報が流れるや、チームが宿泊するソウル市内のホテルには朝から多くの報道陣が押し寄せた。大リーグの開幕戦が韓国で行われるのは初めてで、韓国はお祭りムードに包まれていた。その中での衝撃的なニュースに、コリアデイリーは「史上初の韓国でのMLB開幕戦を台無しにした。歴史的なお祭りは衝撃的なスキャンダルで染まることになった」と怒りを持って伝えた。
激震が走った日に行われた21日の第2戦だったが、大谷選手はこの日もグランドに立った。「2番・指名打者」で先発出場し、5打数1安打1打点。ドジャースは11-15で敗れた。試合後、大谷選手は水原氏について言及することはなく、「お疲れ様でした」と4回繰り返して帰路に就いた。
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