ユ氏の所属事務所は今年1月、ユ氏になりすまして金融取引を求める事例が発見されたとして注意を呼び掛けた。事務所は「現在、ユ・ジェソクは個人SNSチャンネルを運営していない。また、いかなる状況においても事務所及びアーティストの個人アカウントを利用して金融取引を要求したり、特定の個人に取引を提案することはない」と強調した。
今年2月には韓国のテレビ局JTBCが、同局で放送されている報道番組「ニュースルーム」でMCを務めているアナウンサーや出演者の写真や放送画面のキャプチャーイメージを無断使用し、投資に誘導する広告が確認されたとして注意を呼び掛けた。同局は「全て虚偽であり、多くの消費者を危険な投資に誘おうとする広告であり、格別な注意が必要だ」とした上で、「『ニュースルーム』に多大な被害を与える詐欺広告に関しては、断固たる法的措置を講じる」と警告した。
芸能人やアナウンサーのみならず、政治家も詐欺広告に名義や写真を盗用されている。昨年10月ころ、フェイスブックには与党「国民の力」のキム・ジョンイン元非常対策委員長とユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が一緒に写った写真が無断使用された広告が掲載された。広告には「こんにちは、キム・ジョンインと申します。私の方法を心からシェアして皆さんが株式でお金が稼げるよう手助けしようと思います」などと記されていた。「私のガイダンスに従えば、収益を得ることができるでしょう。20%以上の損失を出したことはなく、80%の成功率を保証します」などと投資を誘う文句が続いた。当時、これに関する記事を掲載した韓国紙の朝鮮日報は「自動翻訳機を使ったようなフレーズが多く、海外に拠点を置く詐欺組織の可能性も指摘されている」と伝えた。
日本でも著名人をかたる投資詐欺の広告がSNSにあふれている。警察庁によると、こうしたSNS型投資詐欺は昨年だけでも2271件、約278億円の被害額が確認されている。被害者は男性50~60代、女性40~50代が最も多いという。衣料品通販大手ZOZO創業者で実業家の前澤友作氏も詐欺広告に名前や写真を使用され、先月、詐欺広告に抗議する考えを示した。前澤氏は偽広告がSNS上で掲載され続けているのにも関わらず、FacebookやInstagramなどのプラットフォームが対策を十分にとっていないことを問題視。X(旧ツイッター)で「FacebookやInstagram上で、著名人を使った詐欺広告に騙されて何らかの被害に遭った方は、匿名で構いませんので、その時の状況を詳しく教えていただけませんか。みなさんの分もまとめて僕がMeta社に抗議します。みなさんで声をあげていきましょう!」と呼び掛けた。
韓国においても前述のように芸能人ら約130人が「有名人詐称オンラインフィッシング犯罪解決のための集い」を開き、プラットフォームや政府に対して対策を講じるよう求めた。
こうした動きに触発されてか、グーグルは先月28日から、ユーチューブなどに詐欺広告を掲載した広告主のアカウントを永久停止とした。これを報じた亜洲日報は「従来の政策は『広告主のビジネス、製品、サービスに関する情報を隠蔽したり、虚偽の情報を提供してユーザーを騙す広告は許されない』という原論的な内容にとどまっていた」とした上で、今回の発表した措置について「『永久停止』という超強手を加えた」と指摘した。また、ヘラルド経済も「(グーグルは)詐欺広告の根絶のために現時点で可能な最も強力な措置を下した」と伝えた。
韓国政府も動いており、先月27日、実態調査のための専門チームを発足させた。
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