今夏、韓国は7月に猛暑になった日は4.3日と相対的に少なかったが、8月に入って連日、厳しい暑さとなった。韓国疾病管理庁は2011年から「熱中症救急室監視システム」を運営している。同システムは、救急室を運営する全国の医療機関500か所が、保健所や市・道の疾病庁と協力し、救急室に来院した熱中症患者を把握。猛暑が健康に及ぼす影響を監視するシステムだ。聯合ニュースが、同庁の発表として伝えたところによると、システムの今夏の運用が始まった5月20日から今月21日までに病院に搬送された熱中症患者は累計で3019人だった。熱中症が原因とみられる死者は計28人に上ったという。夜になっても気温が下がらない日が多く、ソウルでは熱帯夜の日数が観測史上最多となった。
韓国では今夏、あまりの暑さに、海水浴やマリンスポーツなど屋外での活動を控える人も目立ち、観光産業にも影響を与えている。韓国紙の中央日報によると、北東部・カンウォンド(江原道)ピョンチャン(平昌)郡の民宿・ペンションの経営者の一人は、同紙の取材に「夏休みシーズンの商売は駄目だ」と肩を落としたという。また、7月末と8月初めに、妻と江原道への2泊3日の旅行を計画していたという32歳の男性は、同紙の取材に「暑すぎて外出もできないほどだと判断し、休暇を取るのを止めた」と話した。同紙は「夏休みシーズンンの特需が期待にそぐわないものになるとみられ、内需低迷の長期化に対する不安も高まっている」と伝えた。
一方、今夏の記録的猛暑で、思わぬ特需があったところもある。大型ショッピングモールや百貨店だ。8月、ザ・現代ソウルの来店客数は昨年同月比22%、現代百貨店パンギョ店は20.1%それぞれ増加した。ロッテ百貨店や新世界百貨店なども今月、来店客数が前年同月比増となっており、チャムシル(蚕室)ロッテワールドモールには、1~20日まで約350万人が来店したという。韓国メディアのイートゥデイは「涼しい百貨店やショッピングモールを訪れる『モールカンス』(モールとバカンスを組み合わせた造語)が増えている」と伝えた。
韓国紙のハンギョレによると、南西部・クァンジュ(光州)の光州科学技術院は7月、朝鮮半島が2030年代以降、毎年、猛暑レベルの暑さが日常化するとの分析予測を発表した。同院地球・環境工学部のユン・ジンホ教授が、米国のユタ州立大学の研究チームなどと合同で行った研究でこうした予測を導き出したという。気温は様々な要因で上下するが、2030年代以降は人為的気候変動の影響で気温が一定水準以下にならず、猛暑が日常となると研究チームはみている。
今夏の暑さは幾分和らいだが、韓国気象庁は9月初めまでは猛暑や熱帯夜の日があるとみている。韓国は来月17日に秋夕(チュソク、中秋節)を迎える。今年はこの日と前後の日を合わせ最長9連休にすることができる。この頃には外出もしやすくなっているとみられ、中央日報によると、あまりの暑さから7、8月に計画していた旅行をあきらめたと語った前出の男性は、同紙の取材に「秋夕ごろに年次休暇を取り旅行をする計画だ」と話した。
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