5日に投開票が行われた米大統領選は、共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、4年ぶりに返り咲きを果たした。勝利宣言で、支持者を前に演説したトランプ氏は、「かつてない政治的な勝利だ。第47代大統領という特別な栄誉を与えられたことに感謝したい」と述べた。その上で、「世界で最も素晴らしい国を取り戻したい」と決意を示した。
トランプ氏の勝利が確実になるや、韓国の尹大統領は6日夜、SNSに祝いのメッセージを投稿。7日朝には早速、トランプ氏と電話で会談した。韓国大統領室の発表によると両氏は近く対面することで合意した。尹氏は日米韓3か国の連携について言及。「今後、韓米同盟が安全保障や経済など、あらゆる領域にまたがる緊密なパートナーシップに繋がるよう取り組みたい」と述べた。これに対し、トランプ氏は「米韓が良好な協力関係を維持することを期待している」と応じた。また両氏は、軍事的挑発を繰り返す北朝鮮についても意見交換し、憂慮を表明。北朝鮮問題について協議の必要性で一致したという。
一方、トランプ氏の返り咲きは、米国政府の様々な分野の政策に大きな変化をもたらすことが予想されている。韓国紙の朝鮮日報は7日付の社説で、「米国と経済・安全保障の両面で同盟を結んできた韓国としては再び不確実な状況に直面することになった」と懸念した。社説は、貿易分野における米中対立と世界的なサプライチェーン再編の影響を受け、韓国の最大の輸出相手国は中国から米国になったとし、「このような状況で第2次トランプ政権が再び保護貿易に乗り出した場合、韓国経済にとって大きな負担になるだろう」と不安視した。聯合ニュースは、北朝鮮問題について「トランプ氏が北朝鮮の核保有を認め、今まで韓米同盟が追及してきた『北朝鮮の非核化』の目標を捨てる懸念も出ている」と報じた。
こうした中、韓国大統領室は10日、2期目のトランプ政権の発足に備えるため、経済や安全保障の課題を話し合う会議を開いた。会議で尹氏は、最も変化が予想される分野に通商を挙げ、副首相をトップとする対策会議の立ち上げを指示した。安全保障分野については、米韓同盟を土台に北朝鮮に対する抑止力を維持し、両国がアジア太平洋地域で平和と繁栄のリーダーシップを持つための準備を求めた。
また、韓国メディアによると、16日に、与野党の超党派の議員団が訪米する。公共放送KBSが与党関係者の話として伝えたところによると、代表団は18、19日(現地時間)にワシントンで開かれる「第9回韓米戦略フォーラム」に出席し、第2次トランプ政権の発足を控え、韓米同盟と経済協力に関する韓国側の立場を説明する予定という。KBSは「代表団は、トランプ氏の側近らとの接触も試みるとみられる」と伝えた。
韓国が対米外交の準備を加速化させている中、尹大統領は最近、ゴルフの練習も始めたとされる。トランプ氏はゴルフ好きで知られ、尹氏は周囲から「ゴルフ外交を準備すべきだ」との助言を受け、8年ぶりにゴルフクラブを握ったという。トランプ氏の1期目には、当時の安倍晋三首相がゴルフを通じ蜜月関係を築いたことから、これを参考にしたものとみられている。
韓国紙の中央日報は11日、「トランプ氏の隣の安倍氏の空席、尹大統領が埋めるには」と題する論説委員のコラムを掲載した。コラムは、選挙に勝利したトランプ氏への祝意の電話について、尹大統領が石破茂首相よりも通話時間が長く、順序も早かったと指摘する日本メディアの報道を引用。「石破氏は安倍氏と違ってゴルフをせず、ゴルフ好きのトランプ氏と接点があまりないとの指摘も受けている」とし、「トランプ・安倍コンビのように、トランプ・尹コンビのゴルフ外交が実現するか注目される」と解説した。
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