<W解説>「Love Letter」が大ヒット、中山美穂さんの訃報に韓国でも悲しみ広がる
<W解説>「Love Letter」が大ヒット、中山美穂さんの訃報に韓国でも悲しみ広がる
歌手で俳優の中山美穂さんが54歳で死去したニュースは、韓国でも各メディアが報じた。中山さんは韓国で大ヒットした映画「Love Letter」で主演を務めたことなどから、韓国人に広く知られた俳優だ。中山さんが死去したことが明らかになるや、韓国メディアは一斉にこれを報じ、ネット上では、訃報に接した韓国人のファンから「Love Letterが公開されて25年。とても残念だ」などと早世を惜しむ声が多数上がった。

中山さんは今月6日午前、自宅風呂場の浴槽で倒れているのを所属事務所の関係者に発見され、駆け付けた医師によってその場で死亡が確認された。発見された当日は大阪市でコンサートを開催する予定になっており、昭和を代表するアイドルの突然の死に、衝撃が走った。

中山さんの所属事務所は8日、ホームページにコメントを掲載。「この度の中山美穂の突然の逝去に際し、皆様から寄せられた温かいお言葉やお悔やみのお気持ちに、心より御礼申し上げます」とした上で、「検死の結果、事件性はないことが確認されました。死因は入浴中に起きた不慮の事故によるものと判明いたしました」と報告した。

中山さんは東京都出身。1985年に「毎度おさわがせします」(TBS系)でドラマデビューした。87年に放送された主演ドラマ「ママはアイドル!」(同)は中山さんが「ミポリン」の愛称で呼ばれるきっかけになったとされる。85年にはシングル「C」で歌手デビューもし、日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞した。90年代以降はロックバンド「WANDS」との共演曲「世界中の誰よりきっと」や「遠い街のどこかで…」、「ただ泣きたくなるの」とヒット曲を重ねた。

韓国で中山さんの名は、初恋の淡い思い出を美しい映像でつづった岩井俊二監督の映画「Love Letter」を通じて広く知られるようになった。かつて韓国では、日本の統治時代(1910~45年)の歴史を考慮し、国民感情を害する恐れがあるとして、法令により日本の漫画や映画、音楽などを規制する時期が長年続いた。それが大きく転換されたのは、1998年に来日した当時のキム・デジュン(金大中)大統領が、日本の大衆文化を解禁する方針を表明したことだった。以降、韓国は日本の大衆文化を徐々に受け入れ始め、99年に同国で公開された作品が「Love Letter」だった。中山さんはこの作品で主演を務め、中山さん演じる博子が誰もいない雪原で叫んだセリフ「お元気ですかー?」は当時、韓国で大流行。公開当時、作品は同国内で140万人の観客動員を記録した。この作品は日本の大衆文化開放後、初めて興行的に成功を収めた日本映画だ。映画のロケ地だった北海道・小樽市には、今でも韓国から多くのファンが訪れている。

中山さんはチョン・ジェウン監督が演出した2018年公開の韓国映画「蝶(チョウ)の眠り」にも出演。中山さんと共演した俳優キム・ジェウクさんは同年8月のマスコミ向け試写会で「中山美穂さんのキャスティングのニュースを聞いて、心強かった。女性主人公である涼子役は、演じる女優によってこの映画の色が左右されるほど大事な役柄だが、中山さんが演じることになって幸いと思った。韓国人に親しみのある女優で、涼子とイメージも合って、チョン・ジェウン監督も僕も喜んだ」と話していた。

中山さん急死のニュースは韓国メディアも一斉に伝え、朝鮮日報は「『Love Letter』女性主人公の中山美穂、自宅で息を引き取った状態で発見」の見出しで報じた。X(旧ツイッター)の現地トレンドではハングルで「中山美穂」の名前が一時上がるなど、突然の訃報は韓国でも驚きと悲しみが広がった。ネット上では「私の青春の1ページ」「初恋の人と『Love Letter』を見て感動したのを覚えている」と中山さんの過去の出演作にまつわる自身の思い出をつづったコメントも見られた。
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