調査は今月4~5日に、全国の18歳以上の男女1000人を対象に実施。その結果、尹氏を「強く支持する」は31%、「支持する」は9%で、40%が支持していると回答した。年代別に見ると、「強く支持する」「支持する」との回答者は10~20代が37%、30代が36%、40代が26%、50代が39%、60代が40%、70代が61%で、50代以上から、年代が上がるについて支持の割合が高くなる傾向が見て取れた。一方、「全く支持しない」は56%、「支持しない」は4%だった。
昨年12月、尹氏が非常戒厳を宣言した後に世論調査会社の「韓国ギャラップ」が実施した世論調査では尹氏の支持率は就任後最低となる11%まで下落していた。調査機関が異なるため、単純に比較はできないが、韓国社会に混乱をもたらした尹氏に怒りや処罰を求める声も高まる中、尹氏の支持率がこの約1か月で大幅に回復したことがうかがえる。
尹氏が「非常戒厳」を宣言したのは先月3日深夜のことだった。戒厳令の発出は1987年の民主化以降初めてで、武装した戒厳軍の兵士がガラスを割って国会議事堂に突入。軍事政権時代を連想させる事態に、国会前には多くの市民が集まり、戒厳に反対するシュプレヒコールを上げたほか、軍の車両を取り囲むなど騒然とした。
だが、戒厳令は国会議員の過半数が解除を求めた場合、大統領はこれに応じなければならず、発令直後、国会で本会議が開かれ、出席議員の全員が解除に賛成。尹氏はわずか6時間で非常戒厳を解いた。
野党は、尹氏が非常戒厳を宣言したことは内乱の疑いがあるとして告発。高位公職者捜査処(庁、公捜処)などでつくる合同捜査本部が捜査を進めている。
今月3日、合同捜査本部は尹氏に対する拘束令状を執行するため大統領公邸に入った。しかし、建物前で大統領警護処(庁)がこれを阻み、にらみ合いが5時間以上続いた。結局、捜査本部はこの日の執行を断念した。
また、先月、尹氏の弾劾訴追案が国会で可決された。弾劾が妥当かどうかを判断する憲法裁判所の裁判が先月27日から始まっており、今月14日に初めての弁論を行って本格的な審理を開始することになっている。憲法裁判所の判断次第で尹氏は罷免となる。
内乱を首謀した疑いで逮捕も現実味を帯び、窮地に陥っている尹氏がここに来て支持率がUPするという状況が、少なくともKOPRAの世論調査の結果からは見て取れる。この結果に、韓国紙のハンギョレは、この調査の設問設計の偏りを指摘。「極右勢力と与党『国民の力』の支持層で共有され、世論の流れを歪曲している」と問題視した。
公職選挙法108条は、世論調査について、特定の政党または候補者に偏向させる語彙や文章を使って質問する行為を禁じている。最大野党「共に民主党」は「質問項目の設計などが特定の回答を誘導する形で進められた」などとして、KOPRAを同法違反の疑いで告発する方針を固めた。
尹氏を捜査している合同捜査本部は裁判所に対し拘束令状を再請求し、7日、裁判所はこれを認めた。合同捜査本部に入る高位公職者犯罪捜査処(庁)のトップは、再び尹氏の拘束を試みる考えを示した。これを受け、大統領公邸付近では尹氏を支持する団体が徹夜で集会を行った。一方、尹氏の弾劾と拘束を求める市民も集まり、緊張が高まっている。
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