<W解説>韓国大統領選、保守の候補一本化は事実上、消滅=本日から期日前投票スタート
<W解説>韓国大統領選、保守の候補一本化は事実上、消滅=本日から期日前投票スタート
来月3日投開票の韓国大統領選は、本日29日、期日前投票が始まった。ここまで、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補が優位な戦いを続けており、与党「国民の力」のキム・ムンス候補、野党「改革新党」のイ・ジュンソク(李俊錫)候補が追う展開となっている。「国民の力」は、李俊錫氏を取り込み、同党公認のキム候補との一本化を目指したが、交渉は不発に。韓国メディアは「一本化はご破算」(ハンギョレ)などと伝えている。

期日前投票は本日29日と30日の2日間行われる。これまでの期日前投票は週末が含まれていたが、今回は平日のみの実施となる。これに関連して、「共に民主党」は「大規模な産業団地に勤務する会社員は、平日は業務のため投票できない」として、中央選挙管理委員会に対し、対策を求めた。

期日前初日の本日29日は、各候補者も投票を予定している。

選挙戦はここまで、候補者の支持率調査でトップを維持している李在明氏が優位に進めてきた。一方、政権を維持したい与党「国民の力」は、「改革新党」の李俊錫氏を取り込み、同党公認のキム候補との一本化を図ろうとした。選挙戦は序盤、李在明候補の「独走」だったが、世論調査会社の「韓国ギャラップ」が、20~22日にかけて全国の18歳以上の有権者1002人を対象に実施した調査で、李在明候補の支持率は、前週行われた調査から6ポイント下がって45%だった。一方、キム候補は7ポイント上がって36%、「改革新党」の李俊錫候補も2ポイント上がって10%だった。前回22ポイントあった李在明候補とキム候補の支持率の差は9ポイントまで縮まった。単純にキム氏と李俊錫氏の支持率を合わせると、李在明氏を上回り、「国民の力」は一層、李俊錫氏に一本化を迫った。同党のキム・ヨンテ非常対策委員長は23日、「李俊錫候補に、圧倒的な一本化を通じて、共に勝利の道に進むことを要請する」と呼び掛けた。

しかし、李俊錫氏は一本化交渉には応じない考えを一貫して示し、22日には、「国会議員選挙で投票してくれた国民の皆さんが私に期待していることは、揺るぎない政治姿勢を貫くことだ。その期待を裏切り、一本化することは全く考えていない」と述べた。また、その際、報道陣に対し「一本化に関する質問はもうしないでもらいたい。意味がない」とも語った。

韓国メディアのイーデイリーが政界関係者の話として伝えたところによると、キム候補は29日未明、李俊錫候補に一本化交渉をするため、アポなしで国会議員会館を訪ねた。しかし、李氏に会うことはできなかったという。キム候補は記者団に対し、「何度電話をかけても(李氏が)出ず、会う術がない状況」とし、「本投票までは(会うための)努力を続けなければならないのではないか」と話した。キム氏は、李氏に会えた場合、伝えたいことは何かと記者に問われ、「我々が団結して怪物の独裁を防がなければならないということだ」と李在明候補を「怪物」と表現して李政権誕生の阻止を訴えた。

しかし、李俊錫氏は「共に民主党」のみならず、「国民の力」も批判しており、「第3勢力」として最後まで戦う考えに変わりはないことから、通信社の聯合ニュースは28日、「一本化の可能性は事実上消滅した」と伝えた。他の主要メディアも同様の見方を報じており、韓国紙の中央日報は29日、「単一化はなくなった」とし、「大統領選挙は3者構図で行われることになった」と伝えた。また、韓国紙のハンギョレは「李俊錫候補の完走の意思が揺るがない上、双方とも最近の支持率上昇の勢いを維持すれば、戦う価値のある選挙になると判断した結果だ」と解説した。

3回にわたって行われたテレビ討論会は27日までに終了し、本日29日からは期日前投票が始まった。以降、世論調査の結果の公表は禁止されている。事実上、3者の構図となった中、各候補者たちは最終盤、遊説に全力を傾ける方針だ。
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