韓国と日本は約14年の交渉の末、1965年6月22日に外交関係を樹立するための基本条約を締結した。大韓民国を朝鮮における唯一の合法政府と認めたほか、日韓併合条約調印時の1910年8月22日以前に結ばれた条約・協定は「もはや無効」とした。この条約と併せて日韓請求権協定が結ばれた。協定では日本が韓国に計5億ドルの経済協力資金を渡すことを約束し、両国間の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」とした。パク・チョンヒ(朴正熙)政権は日本からの資金をインフラ整備などに投じ、「ハンガン(漢江)の奇跡」と呼ばれる高度成長を成し遂げた。
日韓は国交正常化後、関係悪化と改善を繰り返してきている。数年前は「正常化以降で最悪」と言われるまでに冷え込んだが、その後、2022年5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の尽力もあり、両国の関係は劇的に改善。日韓国交正常化60周年を迎えた今も良好な状態が維持されており、政界のみならず、経済界、そして両国民による草の根の交流活動が活発になっている。
日韓国交正常化60年を前に、今月16日には、ソウルの日本大使館で記念行事が開かれた。日本大使館が主催した。日韓両国の政府や企業の関係者ら約1000人が招かれ、日本政府からは長島昭久・総理大臣補佐官、韓国政府からはキム・ジナ第2次外務次官が出席した。水嶋光一大使は「60年は還暦にあたり、日韓関係は新たなスタート地点に立っている。両手を携え、より良い未来に歩んでいきたい」とあいさつした。イ・ジェミョン(李在明)大統領は主要7か国首脳会議(G7サミット)の日程と重なり、この日の記念行事には参加できなかったが、動画でメッセージを寄せた。李氏は「韓日関係が安定的で未来志向的な発展を遂げていくことを願っている」とした上で、「激変する国際情勢の中で、両国はともに対応策を模索すべき重要なパートナーだ」と述べ、さらなる関係強化に意欲を示した。李氏は今月4日に大統領に就任したばかり。李氏はこれまで日本に対し、批判的な発言が多かったが、「国益中心の実用外交」を掲げ、最近は「反日色」も封印している。G7サミットでは石破茂首相と対面による初の首脳会談を行い、「小さな違い、意見の違いがあるが、その違いを越えて、両国が様々な面で互いに協力し、役に立つ関係へとさらに発展していくことを期待している」と述べた。
19日には、在日本韓国大使館の主催で60周年を祝うイベントが都内で開かれた。政界や経済界などから約1000人が参加した。石破首相も出席し「日韓は互いに最も近い隣人として、幅広い交流を積み重ねてきた。両国関係が安定的に発展していくよう、緊密な意思疎通を続けなければならない」とあいさつ。関係強化に意欲を示した上で「未来に向かって共に新たな一歩を踏み出そう」と呼び掛けた。パク・チョルヒ駐日韓国大使も、「現在の友好的な関係をさらに発展させるための努力を怠ってはならない」と述べた。
関係が良好な中で国交正常化60年を迎えたが、両国は依然、歴史問題や領土問題といった対立の火種を抱えている。尹氏の後の大統領として就任したばかりの李氏は、日本との関係強化には意欲を見せる一方、歴史や領土問題では譲歩しない構えだ。韓国の聯合ニュースは15日に配信した記事の中で、「国交樹立から60年間、両国は協力の幅を広げながら離れられない隣人となった」とした一方、「過去の歴史問題は完全に解消されず、対立は現在も続いている」とした。また、朝日新聞は22日付の社説で「日韓関係では『未来志向』の必要性が語られる。それは過去を知らなくてもよい、ということではない」と指摘した上で、「過去は変えられない。だが未来は、双方の知恵と努力で築くことができる」とした。
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