<W解説>韓国・尹前大統領の初の判決公判は来月16日の見通し=「分岐点になる」とメディア
<W解説>韓国・尹前大統領の初の判決公判は来月16日の見通し=「分岐点になる」とメディア
昨年12月に「非常戒厳」を宣言し、内乱罪など複数の罪に問われている韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の公判をめぐり、特殊公務執行妨害罪などに問われた追起訴分の判決が、来年1月16日に言い渡される見通しとなった。韓国の公共放送KBSは「今回の判決は、尹前大統領が抱える複数の刑事裁判の中で初めて示される司法判断となるため、注目が集まっている」と伝えた。

尹氏が昨年12月3日に国内に宣言した「非常戒厳」は韓国憲法が定める戒厳令の一種。戦時や事変などの非常事態で、軍事上、必要となる場合や公共の秩序を維持するために大統領が発令するものだ。行政や司法の機能は軍が掌握し、言論・出版・結社の自由を制限することも認められる。

1987年の民主化以降初めてとなる「非常戒厳」の宣言を受け、当時、武装した戒厳軍の兵士がガラスを割って国会議事堂に突入。軍事政権時代を連想させる事態に、国会前には多くの市民が集まり、戒厳に反対するシュプレヒコールを上げたほか、軍の車両を取り囲むなど騒然とした。

だが、戒厳令は国会議員の過半数が解除を求めた場合、大統領はこれに応じなければならず、発令直後、国会で本会議が開かれ、出席議員の全員が解除に賛成。尹氏はわずか6時間で非常戒厳を解いた。

しかし、その後も社会の混乱は続いた。非常戒厳を宣言した尹氏は、今年4月、憲法裁判所の弾劾審判で罷免された。また、内乱を首謀した罪などで起訴され、現在も公判が続いている。尹氏の罷免を受けて6月には大統領選が行われ、「社会統合」を掲げた革新系「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏が当選した。その後、戒厳に関与した尹前政権の中心人物を、政府から独立して捜査にあたらせるため、国会で成立した特別検察法に基づき特別検察官(特検)チームが発足。チームは「非常戒厳」の全容解明に向け捜査を進め、尹氏のほか、政府高官や軍関係者ら、これまでに計24人を起訴した。

特検は半年に及ぶ一連の捜査を終え、今月15日、捜査結果を公表した。尹氏が「非常戒厳」を宣布した目的について、「武力によって権力を独占・維持するためだった」と結論付けた。同日、記者会見したチョ・ウンソク特別検察官は「尹氏は軍を動員して武力で政治活動と国会機能を停止させ、国会に代わる非常立法機構を通じて立法権と司法権を掌握しようとした」とし、「その後、反対勢力を排除し、権力を独占・維持する目的で非常戒厳を宣布した事実を確認した」と明らかにした。さらに、あっせん収賄罪などで公判中の尹氏の妻、キム・ゴンヒ(金建希)氏の司法リスク解消も、尹氏の戒厳令宣布の判断に一定の影響を与えたとの判断を示した。

尹氏の公判が続いている中、韓国メディアによると、尹氏が抱える複数の刑事裁判の中で、特殊公務執行妨害罪などに問われた追起訴分について、判決公判が来年1月16日にソウル中央地裁で開かれる見通しとなった。尹氏は1月に捜査当局に身柄を拘束されそうになった際、大統領警護庁に令状執行を妨害するよう指示したなどとして、特別検察官チームは7月19日に尹氏を追起訴した。特別検察官法では、起訴から6カ月以内に一審判決が言い渡されなければならないとしており、ソウル中央地裁は来年1月19日までに判決を言い渡す必要がある。一方、尹氏側は内乱罪をめぐる公判の判決が先になされるべきだと主張している。

1月16日の判決公判が、戒厳関連で初の判決言い渡しとなる見通しだが、公共放送KBSは「今回の初めての判決は、有罪・無罪の判断を越えて、今後の裁判の行方を左右する分岐点になるとみられている」と伝えた。KBSは「今回の判決日程が注目される背景には、判決の時期によって尹前大統領の身柄の扱いが変わる可能性がある点にある」と指摘。その上で、「内乱罪の裁判の判決は来年2月ごろと見込まれているが、現在の勾留期限は1月18日までとなっており、判決が遅れた場合、内乱罪の裁判が終わる前に釈放される可能性もある。一方、逮捕妨害の罪(特殊公務執行妨害罪)で1月16日に実刑判決が言い渡され、拘束されれば、勾留期限満了による釈放は難しくなる」と解説した。

尹氏は「非常戒厳」から1年となるのに合わせ、今月3日、弁護士を通じて文書でコメントを発表。「非常戒厳」の宣言は、当時、憲政秩序が危機にひんしている状況だったことから、「大統領の権限で非常事態を宣言し、憲政秩序を正そうとした」として、改めて戒厳の正当性を主張した。

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