<W解説>1月に陸自と韓国陸軍が幹部候補生向け事業実施へ=防衛交流の停滞は解消されるか
<W解説>1月に陸自と韓国陸軍が幹部候補生向け事業実施へ=防衛交流の停滞は解消されるか
日韓防衛当局間の交流の停滞が続いている中、共同通信が今月20日に報じたところによると、陸上自衛隊と韓国陸軍が来年1月、幹部候補生向けの交流事業を計画しているという。共同は「今回の事業を機に事態を収束させ、今後の部隊間訓練の再開などにつなげたい考えだ」と伝えた。

日韓の防衛交流をめぐっては、先月上旬に航空自衛隊那覇基地で実施予定だった韓国空軍機への給油支援を日本側が中止して以降、停滞している。韓国が領有権を主張している島根県の竹島の周辺を、この支援対象の空軍機が10月末に飛行していたことが分かり、日本側はこれに反発し、給油支援中止を決めた。給油支援対象となっていたのは、韓国空軍の特殊飛行チーム「ブラックイーグルス」。同チームは当初、11月中旬からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された航空ショーへの参加を計画しており、その際、航空自衛隊那覇基地に立ち寄って給油を受ける予定だった。

自衛隊は米国や豪州など各国との間で、物資や役務を融通し合うための「物品役務相互提供協定(ACSA)」を結んでいるが、韓国とは締結していない。一方、自衛隊法116条1項は、自衛隊の任務に支障が生じない範囲で燃料を無償貸し付けできると定めており、自衛隊は、韓国軍からの給油支援要請を受けて、この規定を基に給油実施に向け準備を進めていた。

日本側の給油中止を受けて、ブラックイーグルスは航空ショーの参加を見送った。通信社の聯合ニュースの当時の報道によると、ブラックイーグルスは海外の航空ショーに参加する際はこれまで台湾の高雄にある基地で給油をしていたという。しかし、那覇基地を利用すれば時間が短縮できる上、費用も抑えられることから、今回は日本側に支援を要請していたという。実現すれば、これまで前例がない、新たな日韓の防衛協力となっていた。

今年10月に発足した高市早苗政権で任を受けた小泉進次郎防衛相は先月、訪問先のマレーシアで韓国のアン・ギュベク国防部長官と初めて会談した。両氏は日韓両国の防衛協力についても意見を交わし、防衛当局間の定例協議と人的交流をさらに活性化させることで一致していた。それにもかかわらず、給油支援が中止となり、アン国防部長官は先月出演したテレビ番組で「(日本が)また違う姿を見せ、失望を感じる」と述べた。

その後、韓国軍は、東京の日本武道館で開かれた「自衛隊音楽まつり」への軍楽隊の参加を見送ったほか、海軍は、海上自衛隊と調整していた捜索・救難共同訓練について、先月の開催を取りやめた。日韓の共同訓練は、2018年に発生した韓国海軍による海上自衛隊の哨戒機への火器管制レーダー照射問題を受けてストップしたが、日韓関係の改善を受けて昨年11月に約7年ぶりに行われた。またも、訓練が見送りとなり、防衛交流の停滞を懸念する声が上がった。

小泉防衛相は先月28日、東京・市谷の防衛省でイ・ヒョク駐日韓国大使の表敬を受けた。両氏は、安全保障環境が厳しさを増す中、日韓・日米韓の防衛協力が重要だとの認識で一致した。面会後、イ氏は記者団に、「交流はこれから着実に進んでいく。韓日の安全保障における協力は、時代の流れに合っている」と述べた。

こうした中、共同通信によると、陸上自衛隊と韓国陸軍が、来年1月に幹部候補生向けの交流事業を計画していることが分かった。陸自の幹部候補生が訪韓し、北朝鮮との軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)を視察するほか、韓国陸軍の幹部候補生と意見交換するという。幹部候補生の交流事業は従来から定期的に行われているものだといい、防衛交流が停滞する中でも予定通り実施することになったもようだ。

交流事業がきっかけに、今後、停滞している事態が解消に向かうか注目される。

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