<W解説>来年こそ、北朝鮮との対話再開を果たしたい韓国・李政権=カギを握るのはロシア、中国の協力
<W解説>来年こそ、北朝鮮との対話再開を果たしたい韓国・李政権=カギを握るのはロシア、中国の協力
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領は今月19日、対北朝鮮政策に関連し、南北の対立が深まり、交流が断絶している状況について「南北間の敵対(関係)が緩和され、信頼が少しでも芽生えるよう最善の努力を尽くすべき」と述べた。今年6月に発足した李政権は、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権で悪化した北朝鮮との関係改善を図ろうと対話再開を模索してきた。しかし、北朝鮮側は拒否する立場を表明。韓国は対話再開の糸口を探るべく、北朝鮮と関係が深いロシアや中国に協力を仰ごうとしているが、韓国メディアは「北朝鮮と密着する中ロ、仲介に距離」(東亜日報)などと伝えている。

ウィ・ソンラク国家安保室長は今月7日、李政権の発足から半年間の成果を報告する記者会見で、「2026年はわが国の外交・安全保障において飛躍の元年となるべきだ」とした上で、「北(朝鮮)との対話再開を推進し、朝鮮半島の平和共存プロセスを本格化させる」との考えを示した。ウィ氏は政権発足から半年間を振り返り、「外交分野では様々な成果があったが、南北関係では相対的に成果が多くなかった」とし、「来年は朝鮮半島の問題を解決するため、周辺国との連携強化に努める」と語った。

ウィ氏が会見で口にした「朝鮮半島平和共存プロセス」は、北朝鮮との融和政策を進めようとしたムン・ジェイン(文在寅)政権が掲げた政策だ。南北間の敵対的緊張をなくし、朝鮮半島に完全な非核化と恒久的な平和を定着させることを目指すものだ。しかし、韓国紙の中央日報によると、現政権の大統領室高官は、ウィ氏が「朝鮮半島の平和共存プロセスを本格化させる」と述べたことについて、「文政権の対北朝鮮政策を継承するという意味ではない」とし、「北朝鮮問題は南北間の問題ではなく、国際的な脈絡で見なければならない。今年、米日中との(友好的な)関係を確認したので、これを基盤に来年は北朝鮮と対話再開に向けて努力していくという意味だ」と説明した。

こうした中、通信社の聯合ニュースは、外交部(外務省に相当)の当局者がこのほどロシア・モスクワを訪問し、北朝鮮の核問題を担当するブルミストロフ大使らと協議したと報じた。昨年10月に北朝鮮がウクライナに侵攻するロシアに派兵して以降、今年9月の国連総会の場で韓ロ外相が会談したものの、北朝鮮の核問題を担当する両国の当局者が接触するのは初めて。この協議について聯合は「韓国政府はロシアと北朝鮮に関する懸案を議論するとともに、来年から本格的に進める予定の朝鮮半島の平和共存プロセスなどでロシアに建設的な役割を果たすよう求めたとみられる」と伝えた。一方、ロシア外務省の報道官は「ロシア側は韓国側といかなる協議も行っていない」と否定。「韓国外交部の代表団が、エネルギー・安全保障センターの招待でモスクワを訪問した業務上の出張を、両国の外交当局間の公式交渉に変えようとする試み(報道)が表れた」とした。

最近のロ朝の蜜月ぶりは著しく、昨年には、ロ朝のどちらか一方が戦争状態になった際、軍事的な援助を提供することなどを明記した「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結。北朝鮮はこれに基づき、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するため、北朝鮮軍兵を派兵したほか、武器の供給も続けてきた。

こうした中、北朝鮮の核問題を担当するロシアと韓国の当局者が接触したとする報道をロシア側がすぐさま強く否定したことについて、韓国紙の東亜日報は「ロシアが北朝鮮の通常兵器に強く依存しており、北朝鮮の顔色をうかがっている証拠だ」と指摘する、韓国国防研究院の責任研究委員の見方を伝えた。

一方、韓国政府内では、李在明大統領が、来年初めに中国を国賓訪問し、習近平国家主席と会談する方向で調整が進められている。中国もロシア同様、北朝鮮と関係が深い国として知られる。22日、聯合ニュースTVのインタビューで李氏の訪中計画を明らかにしたチョ・ヒョン外交部長官(外相)は「北韓(北朝鮮)がなんとか対話のテーブルに着くことができるよう、中国の協力を求めることも重要になるだろう」と述べた。

東亜日報によると、ある中国消息筋は同紙の取材に、「日本との対立が先鋭化している台湾問題をめぐり、中国側は韓国に対し、より明確な立場、特に中国側に立つ姿勢を求めている」とし、「今後、韓国が一歩踏み込んだ姿勢を示すかどうかで、中国の韓半島(朝鮮半島)問題への協力度合いも変わり得る」との見方を示した。

前述のように、来年は「朝鮮半島平和共存プロセス」を本格化させると宣言している李政権。早期の対話再開を目指す上で、ロシアと中国の協力が不可欠だが、両国が北朝鮮と強固な関係を築く中、東亜日報は「韓国政府が韓半島問題の分水嶺と位置づける来年4月までに成果を出すのは容易ではないとの憶測が広がっている」と伝えた。

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