日韓慰安婦合意は、2015年12月、当時の岸田文雄外相(元首相)と韓国外交部(外務省に相当)のユン・ビョンセ長官(当時)の間で交わされた。この合意では、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明。韓国政府が元慰安婦を支援するために設立する財団「和解・癒し財団」に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことなどを確認した。翌16年、元慰安婦らの支援事業を担う「和解・癒やし財団」が発足。日本政府は合意に基づき10億円を拠出した。日本政府としては、この合意により、慰安婦問題は解決したとの立場だが、合意の無効化などを公約に掲げた文在寅氏が17年5月に大統領に就任。韓国政府は翌18年11月、財団の解散決定を発表し、日韓合意は事実上、白紙化した。
文政権以降、韓国では元慰安婦らが提訴した訴訟で、日本政府に損害賠償を命じる判決が相次いで確定している。日本政府は、判決は「国際法と日韓両国間の合意に明らかに反する」として韓国に是正措置を講じるよう求めている。
今年6月に就任した李在明大統領は、8月の読売新聞による単独インタビューで慰安婦合意に関して、「この合意が国民的同意を得られず、被害者の方々もこれを受け入れることができなかったのは明確な限界」とした上で、「2015年の合意が両国政府間の公式合意という韓国政府の立場には変わりがない」と述べ、踏襲する考えを明らかにした。また、李氏は「政策の一貫性と国の対外信頼を考えながら、一方で国民や被害者や遺族の立場も真剣に考慮する二つの責任を同時に背負っている」とし、日本政府に対し、韓国の国民感情への配慮も求めた。
李大統領が日韓合意を踏襲する考えを示したことに、当時、韓国の市民団体はすぐさま反発。「日本政府に韓日間の問題の解決を堂々と要求せよ」と求めた。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「今や、日本では『歴史問題は終わった』と言われるだろう。大統領があのように言っているのに、市民が日本政府に歴史問題を解決せよという声が上げられるか」とし、「法的責任を問い、歴史正義を具現することは、絶対に譲歩してはならない」と訴えた。
韓国で慰安婦問題、とりわけ日韓合意に関し、現政権と市民団体の間で見解の違いが露呈したが、政権内でも一致しているとは言い難いのが実情だ。元慰安婦の支援も担う性平等家族部(部は省に相当)のウォン・ミンギョン長官は先月、慰安婦問題が日韓合意により「最終的かつ不可逆的に解決された」とする日本政府の立場に対し、「被害に対する適切な答弁にならない」との見解を示した。
日韓合意から今月28日で10年になるのを前に、元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」などは24日に記者会見し、「合意は一方的・屈辱的な約束だ」と改めて主張。「政府が合意順守の立場を続ける限り、慰安婦被害者の名誉と尊厳のための日本政府の措置は永遠にないだろう」と批判した。
一方、茂木敏充外相は23日、定例の記者会見で日韓合意から10年になることに関連した記者の質問に、「日韓合意は日韓両政府の努力の末に、日韓外相において慰安婦問題の『最終的かつ不可逆的な解決』を確認したもの。韓国政府もこの合意を両政府の公式合意として尊重するとしており、引き続き、日韓両政府でよく意思疎通しながら適切に対応していく」と述べた。
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