2010年に設立したクーパンは、韓国のインターネット通販最大手。韓国最大級のECプラットフォームを持ち、2025年第3四半期のアクティブユーザーは2470万人に上る。独自の物流ネットワークや迅速な配送サービスが強みだ。特に、「ロケット配送」と呼ばれる翌日配送サービスが利用者に支持されている。ECが盛んな韓国で、ほぼ全ての家庭が利用しているとも言われている。
11月、同社の顧客の個人情報流出が明らかになり、韓国国内に衝撃が走った。韓国メディアは「史上最悪の情報流出事件」「事実上、全ての国民が被害」などと伝えた。
同社によると、流出したのは顧客の氏名やメールアドレス、電話番号、住所、注文情報の一部など。商品を購入した際の決済情報やログイン認証情報は含まれていないという。元社員がこれらの情報を流出させていた。流出は6月に始まっていたとみられるが、同社が被害を把握したのは11月だった。
問題発覚以降、クーパンを退会する「脱パン」や、クーパンから他社のECサイトの利用に切り換える「カルパン」の動きが活発化した。12月、この動きを伝えた韓国紙の東亜日報によると、4年間、ほぼ毎日クーパンの生鮮食品の早朝配送「ロケットフレッシュ」を利用してきたという、ある会社員は同紙の取材に、同月1日にクーパンを退会したと明かした。この利用者は「当分は毎夕方、近所のスーパーで食材を買って弁当を作るつもり。クーパンは二度と使わないと思う」と話した。オンラインコミュニティには、「代替のショッピングモールを推薦してほしい」「これまでクーパンに頼りすぎていたようだ」といった投稿が、退会認証の添付画像とともに次々と上がった。また、これまで利用してきた顧客からは退会するまでのプロセスが複雑との批判も相次いだ。
流出規模は、国内の成人の7割以上に当たる3000万人分を超えると報じられ、問題発覚後、すぐさま警察が捜査に乗り出したほか、政府と民間の専門家、捜査当局による官民合同調査団が発足した。12月9日、ソウル警察庁はソウル市内にある同社本社を家宅捜索した。警察は家宅捜索に踏み切った理由について「クーパンが提出した資料だけでは事実関係の確認に限界があり、流出させた人物や経路を明らかにするため、客観的な資料の確保が必要だ」と説明した。
一方、捜査が本格化する中、同社は12月25日、独自に行った調査の結果を発表した。それによると、元社員がセキュリティーキーを不正に使用し、約3300万件の顧客情報にアクセスし、このうち約3000のアカウントの情報を個人の端末に保存したという。元社員は問題発覚後、保存していた情報を全て削除したと話している。同社は「デジタル・フォレンジック(電磁記録解析)により、顧客情報を流出させた元社員を特定した。顧客情報が外部に漏れたり、第三者に渡されたりしたことはなかった」とした。
一方、韓国内では、同社が、最終確認されていない内容を、確定的な事実であるかのように公表したとして批判が出ている。韓国紙のハンギョレは「大統領室が主管した関係省庁対策会議の前にクーパン側が『流出被害は大きくない』との趣旨の一方的な主張を展開したことで、波紋が広がる見通しだ」と伝えた。
同社の発表を受け、政府は「公式に確認されていない一方的な主張だ」と指摘。科学技術情報通信部(部は省に相当)は「調査中の事案について、企業が独自の調査結果を公表したことに抗議した」とし、「当該内容は、官民合同調査団によって検証された結果ではない」と強調した。
一方、同社は「今回の調査は、政府の指示に従ったものだ」としている。
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