政教癒着の疑惑は、尹前大統領の妻、キム・ゴンヒ(金建希)氏が、ユン・ヨンホ被告側からブランド品を不正に受け取った疑いが浮上したのをきっかけに、徐々に明らかになっていった。金氏の夫の尹氏が当選した2022年の第20代大統領選では、教団が資金や組織を総動員して尹氏を支援していた疑いが浮上。教団は日韓海底トンネル構想や対北朝鮮事業など、教団が進める事業を実現させるため、政界に組織的に接近していたとみられている。また、2021~24年にかけて、ユン・ヨンホ被告からは、クォン被告にも違法な政治資金が渡っていた疑いが浮上した。癒着疑惑は尹前政権で与党だった「国民の力」にとどまらない。現与党の「共に民主党」所属のチョン・ジェス前海洋水産相は、教団側から現金や高級腕時計を受け取った疑いがもたれている。
韓国の特別検察は昨年10月、教団のトップ、ハン・ハクチャ総裁を政治資金法違反や請託禁止法違反などの罪で起訴した。ハン被告は教団の事業に便宜を図ってもらうため、前出の金建希氏や尹前政権の側近に不正な金品を強要したなどとされる。同年12月にソウル中央地裁で開かれた初公判で、ハン被告は起訴内容を全面的に否認した。
政教癒着の疑いが次々と明らかになり、イ・ジェミョン(李在明)大統領は昨年12月、旧統一教会を念頭に、宗教団体の解散を含めた法制度のあり方について検討するよう、担当部局に指示した。李氏は「政教分離の原則が本当に重要だが、この政教分離の原則が破られている。例えば宗教団体が組織的、体系的に政治介入した事例がある」と指摘。「日本では宗教団体に解散命令を出した事例がある」と述べ、日本のケースを引き合いに出し、宗教団体の解散命令について「一度検討して何が必要か報告してほしい」と指示した。
検察・警察の合同捜査本部は、旧統一教会のみならず、新興宗教「新天地イエス教会」(新天地)と「国民の力」との癒着についても捜査を進めている。新天地の信者が、総選挙や同党の党大会などに合わせて組織的に党員登録した疑いが浮上している。捜査本部は先月19日以降、新天地から除名処分を受けた元幹部らを参考人として呼び、この党員大量加入疑惑などについて事情を聴いている。
キム・ミンソク首相は先月13日、旧統一教会や新天地などに対する徹底的な捜査を指示した。キム氏は政教癒着が宗教団体の国政介入を招き、このまま放置すれば深刻な弊害を生むと危機感をあらわにした。
李大統領も先月21日の新年の記者会見で、政教癒着問題について改めて言及し、「国が滅びる道であり、必ず根絶しなければならない」とし、「組織的に宗教的信念を政治の道具として活用することは許されない」と指摘した。
前述のように先月28日、ソウル中央地裁はコン・ソンドン被告とユン・ヨンホ被告にそれぞれ有罪判決を言い渡した。旧統一教会と政界の政教癒着を認める司法の判断は今回が初めて。地裁は「旧統一教会側が要請した事項が実現したかどうかに関わらず、この事件の犯行主体だけで国家政策の公正な執行に対する国民の信頼と期待が損なわれた」と指摘した。
大韓民国憲法第20条第2項は「国教は認められず、宗教と政治は分離される」と定めている。見返りを求め、金品などを提供し、政治介入しようとする教団との関係を、韓国政界は絶つことができるか。
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