日韓両国の相互訪問などを通じて意思疎通を強化し、防衛協力を安定的に推進していくことで一致した。日韓の防衛交流をめぐっては、韓国が領有権を主張している島根県の竹島上空で韓国軍機が飛行訓練を行ったことがきっかけで停滞していた。しかし、今回の会談で両氏は、2018年の韓国軍艦艇による海上自衛隊機へのレーダー照射問題を受け中断していた、海自と韓国海軍による捜索・共同訓練を再開することも申し合わせた。また、会談後、小泉氏は記者団に「次回は私が韓国を訪問し、防衛当局間の意思疎通を強化していく」と述べた。韓国紙の東亜日報は「(先月)13日に奈良県で開かれた韓日首脳会談を機に、シャトル外交の再稼働が本格化する中、外交・安全保障分野でもシャトル外交が復活した」と伝えた。
会談は約1時間にわたって行われた。小泉氏は、「安全保障環境が厳しさを増す中で、日韓、日韓米の防衛協力がかつてなく重要になっている」とし、「日本と韓国の関係は、多様なレベルでの意思疎通や制度化された安全保障協力の枠組みを通じて、防衛協力・交流を積極的に推進できるものになった。引き続き、日韓・日韓米の連携を維持・強化していきたい」と述べた。これに対し、アン氏は「本日の会談が韓日関係の発展においてさらなる一歩を踏み出す契機になることを願う」とした上で、「過去を直視し、現在を診断しながら、未来へと進める会談になることを望む」と述べた。
両氏は会談後、共同文書を発表。文書には、前述した捜索・共同訓練の再開や、人工知能(AI)など先端技術分野での協力を防衛当局間で議論することを明記した。
防衛相会談は、昨年11月にマレーシアでの国際会議に合わせて行われて以来の開催となった。昨年9月に中谷元・前防衛相が訪韓した際、日韓防衛相間の相互訪問や防衛交流活性化で合意していたが、その後、韓国軍機が島根県の竹島上空で飛行訓練を行ったことを受け、同年11月、自衛隊基地で初めて予定されていた韓国空軍機への給油支援が中止に。給油支援対象となっていたのは、韓国空軍の特殊飛行チーム「ブラックイーグルス」で、同チームは当初、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される航空ショーへの参加を計画しており、その際、航空自衛隊那覇基地(沖縄県)に立ち寄って給油を受ける予定だった。自衛隊は米国や豪州など各国との間で、物資や役務を融通し合うための「物品役務相互提供協定(ACSA)」を結んでいるが、韓国とは締結していない。一方、自衛隊法116条1項は、自衛隊の任務に支障が生じない範囲で燃料を無償貸し付けできると定めており、自衛隊は、韓国軍からの給油支援要請を受けて、この規定を基に給油実施に向け準備を進めていた。
その後、韓国軍は、東京の日本武道館で開かれた「自衛隊音楽まつり」への軍楽隊の参加や、海自との捜索・救難共同訓練の開催を見送り、日韓の防衛交流は停滞することとなったが、先月13日、高市早苗首相とイ・ジェミョン(李在明)が首脳会談を行い、日米韓の安全保障協力の重要性を確認したことで、交流が再開する流れができた。
先月28日、韓国空軍の「ブラックイーグルス」がサウジアラビアに向かう途中、航空自衛隊那覇基地に寄港し、給油支援を受けた。前述のように、昨年11月には中止となったが、今回、初めて行われた。給油支援の後、両部隊のパイロットらが交流し、記念撮影も行った。ブラックイーグルス戦闘司令のノ・ナムソン空軍大佐は、空自の給油支援に感謝し、「今後も日韓の防衛協力が発展することを願う」と述べた。宮崎政久・防衛副大臣は「わが国を取り巻く安全保障の環境が一層厳しくなる中、日韓の防衛協力は大変重要だ。ブラックイーグルスの初めての寄港は、たいへん象徴的な意味がある」と語った。東亜日報は「韓日防衛当局間交流の新たな章を開いたとの評価が出ている」と伝えた。
給油支援の2日後に行われた今回の防衛相会談。両防衛相は相互訪問を毎年実施することでも合意した。両国の防衛当局間の交流・協力が再び動き出したことがうかがえる。会談後には、両防衛相が卓球を楽しむ時間が設けられた。アン長官の趣味が卓球であることから、小泉氏側が提案した。これを伝えた東亜日報は「国防当局間の意思疎通を強化していく姿勢を象徴するものと受け止められている」とした。
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