また、産業通商部(部は省に相当)のキム・ジョングァン長官やヨ・ハング通商交渉本部長、チョ・ヒョン外交部長官が相次いで訪米し、米韓間の関税合意を滞りなく履行する韓国政府の立場を伝えたが、依然、予断を許さない状況だ。一方、日本は、米国との関税交渉で合意した対米投資をめぐり、閣僚級会議や米国との実務協議を行うなど、履行に向け順調に進めている。韓国メディアは対米投資をめぐる日本と韓国の進捗状況の差を指摘している。
米韓両政府は昨年7月の貿易協議で合意し、トランプ氏は韓国に対する自動車などの関税や相互関税を25%から15%に引き下げると表明。一方で、韓国はこれと引き換えに米国に対し、3500億ドル(約50兆円)の投資をすることで大筋合意した。その後も、対米投資をめぐる条件で折り合うことができずにいたが、昨年10月、米韓首脳会談が行われ、交渉は妥結した。当時、韓国メディアは、「交渉が合意に至ったことにより、前年比13%前後の減少が予想されていた韓国企業の対米輸出は胸をなでおろすことになった」、「崖っぷちの局面でも忍耐と知恵により被害を最小化した韓国政府の交渉チームと企業の努力が勝ち取った劇的合意だ」(いずれもイーデイリー)、「7月末の大枠合意後、関心を集めてきた長い駆け引きはヤマ場を越えた」(ハンギョレ)などと伝えた。
これを受け、韓国与党「共に民主党」は昨年11月、3500億ドルの対米投資に必要な特別基金設立法案を国会に提出した。だが、法案の手続きをめぐって与野党の意見が異なり、審議が停滞した。
こうした中、トランプ氏は先月26日、米国との貿易協定で合意した内容を韓国国会が承認せず、履行していないとして、自動車や医薬品などの輸入品について、関税率を再び15%から25%に引き上げると明らかにした。トランプ氏は自身のSNSに「イ・ジェミョン(李在明)大統領との間で両国にとって素晴らしい合意に達したのに、韓国の議会が承認していない」と不満を吐露した。
トランプ氏の表明を受け、韓国政府は産業通商部のキム長官や、ヨ通商交渉本部長を相次いで米国に派遣し、対応に乗り出した。米通商代表部(USTR)の副代表や米政府、議会の関係者と面会したヨ本部長は「韓米合意に盛り込まれた(対米)投資を履行する意思があり、進展していることを十分に説明することに集中した」と語った。一方、米国側は、関税引き上げを公式化するため、官報への掲載を含む手続きを進めているとされる。大統領の発表を具体的な施行日程と共に行政的に公式化する手続きが官報掲載だ。
今月3日(現地時間)には、チョ・ヒョン外交部長官がワシントンでルビオ米国務長官と会談した。チョ氏は韓国政府の米韓合意の履行の意思は確固たるものであり、意図的に法案処理の速度を遅らせているわけではないと説明したという。ルビオ氏は「合意の履行が遅れるのは米国も望まない」とした一方、会談前には「(韓国の)通商合意をめぐって、米国内の雰囲気が良くない」とも話したという。
対米投資特別法案の審議を加速させるため、韓国の与野党は、国会特別委員会の設置で合意した。与野党は特別委に立法権を付与し、1か月以内の関連案件の合意処理を目指す。韓国紙の中央日報によると、政府関係者は「特別委が円滑に稼働すれば、3月初旬~中旬の特別法処理も可能だろう」と述べた。
一方、日本は米国との関税交渉で合意した総額5500億ドル(約86兆円)の対米投資の履行に向け、これまで閣僚級会議や米国との実務協議を進めてきており、2月に第1弾案件が公表される見通しだ。第1弾案件には、半導体にも使われる人工ダイヤモンドの生産事業が最有力候補に挙がっている。公共放送のKBSは日本と韓国の対米投資について「(両国で)対応のスピードに差が目立っている」などと伝えた。
Copyright(C) wowneta.jp
