後継者との見方が強まっている「ジュエ」氏とされる娘について、韓国紙の朝鮮日報は先月23日、「娘の名前はこれまで『キム・ジュエ』とされてきたが、実は『キム・ジュヘ』であるとの情報を韓国政府が入手したことがわかった」と伝えた。北朝鮮は金氏の娘の存在は認めているものの、娘の名前はこれまで明らかにしていない。そのため、名前についてこれまで「ジュイェ」や「ジュヒェ」ではないかとの見方も出ており、錯綜している。同紙は「内部で後継者に決まってから名前を変えた可能性もある」とも指摘した。閲兵式には金氏とそろいのジャケット姿で登場した娘。後継者としての準備が進んでいることをうかがわせた。
金氏の娘が公の場に初めて姿を見せたのは、2022年11月のことだった。北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞などは当時、ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星17」の発射に成功したと報じる記事の中で、「火星17」の前を白いダウンコート姿の少女が金氏と手をつないで歩く写真などを掲載。「『愛するお子様』が同行した」と伝えた。
その後も娘は金氏の軍事分野の視察に同行するなど、その姿が北朝鮮メディアを通じて度々公開されてきた。北朝鮮指導者の子どもがこれほど早くから公の場に登場することは過去になく、国家機関の一員となるまでは人目に触れないようにしておくという従来の慣例からすると異例な状況となっている。
金氏はリ・ソルジュ(李雪主)夫人との間に3人の子供がいるとされる。韓国政府系のシンクタンク、統一研究院の院長は2023年5月、金氏に度々同行するようになった娘について「後継者の候補に含まれているとみている」との見方を示した。また、国家情報院は2024年1月、「有力な後継者とみられる」との見解を示した。さらに同年7月には、この娘が「後継者教育を受けている」とする分析結果を国会に報告した。ただ、この時は他のきょうだいが後継者になる可能性も排除しなかった。その後、同年11月には、もう一段階踏み込み、この娘について「地位の格が上がっている」との見方を示した。
一方、北朝鮮は金氏の娘の存在は認めているものの、当局などが娘の名前を公表したことはこれまでない。北朝鮮メディアも娘についてこれまで「愛するお子様」、「尊いお子様」、「尊敬するお子様」などと表現している。娘の名前については、2013年に金氏に招かれて訪朝した米国の元プロバスケットボール選手のデニス・ロッドマン氏が「ジュエ」と証言した。デニス氏は訪朝時、金氏の娘とされる乳児を抱いた際、「ジュエ」と紹介されたという。
北朝鮮から2019年に韓国に亡命したリュ・ヒョヌ元駐クウェート臨時代理大使も、昨年、発刊した著書の中で、金氏の娘について「ジュエ」と証言。「主愛」と漢字表記も補足した。リュ氏の妻の父、チョン・イルチュン(金日春)氏が、金氏一族の資金を管理する「朝鮮労働党39号室」の室長を務めた人物で、チョン氏はかつて、金氏が娘を伴って視察した際に同行。この時に撮影した記念写真を後日、リュ氏に見せたという。リュ氏は著書で、写真の裏面には「ジュエお姫さまと共に」とチョン氏による記載があったことを明らかにした。リュ氏が名前の意味を尋ねたところ、チョン氏は「元帥さま(金氏)が『万人の愛を独り占めするきれいな娘になれ』という意味を込めて主愛(ジュエ)と名付けたとおっしゃった」と答えたという。
一方、金氏の娘の名前をめぐり、2023年に韓国に亡命した元駐キューバ大使館参事官のリ・イルギュ氏は、「ジュイェ」と指摘している。
名前について憶測が飛び交う中、金氏の娘は一段と存在感を高めている。韓国の情報機関、国家情報院は先月、娘について、「後継者として内定した段階に入った」との分析を国会情報委員会で報告した。
北朝鮮では先月19日~25日まで朝鮮労働党の党大会が開かれた。党大会で娘に公の職務が与えられるか注目されたが、発表はなかった。しかし、25日夜に行われた党大会を記念する軍事パレードに、娘は金氏と共に登場。そろいの革ジャン姿の2人は並んで立ち、軍事パレードを閲兵した。
前述のように、朝鮮日報によると、韓国政府は金氏の娘の名前について、「ジュエ」ではなく、「ジュヘ」であるとの情報を入手したという。父親の金氏の名前が確定したのは2010年に正式な後継者に就任した時だった。現在、娘がそのまた後継者との見方が高まっていることからすると、娘の名前が明らかになる日も近いかもしれない。
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