<W解説>韓国、芸能人への警護は過剰?=最善策を見いだせず
<W解説>韓国、芸能人への警護は過剰?=最善策を見いだせず
韓国で、K-POPグループへの空港での警護が過剰だと物議を醸している。ガールズグループ「Hearts2Hearts(ハーツ・トゥー・ハーツ)」が今月18日、インチョン(仁川)国際空港の入り口に向かう際、10人ほどの警備員たちが手をつないで円を作り、メンバーたちをガード。この様子を収めた動画がオンラインコミュニティを通じて拡散し、映像を見たネットユーザーからは「大統領警護隊(シークレットサービス、SS)も顔負けの鉄壁警護」「(一般利用者の)通行の妨げになる」などと批判の声が相次いでいる。

通信社の聯合ニュースは「一部では、芸能人に優先搭乗手続き(ファストトラック)を利用させるべきだとの意見も出ているが、特別待遇にあたるとの批判もあり容易ではない」と伝えた。

韓国ではこれまでも、空港での芸能人の警護のあり方が議論の的となってきた。2024年にはドラマ「ソンジェ背負って走れ」で人気を博した俳優のビョン・ウソク氏が海外ファンミーティングのために仁川空港を出国する際、出入りが自由なゲートを警備員が任意で統制したり、ラウンジで一般の利用客に向け強いライトを照射したりし、当時、ネット上では「過剰警護」との批判が相次ぎ、ビョン氏の所属事務所は「警護を遂行した過程で利用客の皆さんが被害を被ったことについて深くおわびする」と謝罪する事態となった。仁川空港警察は、ビョン氏の警護をしていた6人を捜査した。また、仁川国際空港公社が警護を担当した業者を告訴する事態まで発展した。仁川地裁は昨年10月、警備業法違反に問われた警備員に罰金100万ウォン(現レートで約10万6000円)の罰金刑を言い渡したほか、所属の警備会社にも同額の罰金を科した。弁護側は「警護業務の範囲を逸脱せず、故意もなかった。正当行為に当たる」と主張したが、裁判所は「ビョン氏は当時、危険にさらされている状況ではなかった」と指摘。「民間警備員の行為は身辺保護ではなく、撮影を妨害することが目的だった」とし、「芸能人として公に活動する場で人々が集まり撮影するのは当然想定されることで、特別な事情がない限り甘受すべきだ」とした。

ビョン氏をめぐる過剰警護が物議を醸したことがきっかけで、仁川国際空港公社は、空港に芸能人の専用出入り口を設ける方針を発表。しかし、「特別待遇ではないか」との批判が相次ぎ、公社は「芸能人のための措置ではなく、現場の混雑状況を鑑み、空港を利用する一般利用客の安全及び便宜を確保するための措置だ」と釈明するも、結局、計画は撤回された。

「Hearts2Hearts」をめぐり、またしても「過剰警護」論争が巻き起こったが、「Hearts2Hearts」の空港警護のあり方で物議を醸したのは今回が3回目だ。昨年3月には、メンバーが空港内を移動したことで過度な混雑を招いたと指摘された。また6月には、一般利用者の女性がシャトルトレインに搭乗しようとした際、メンバーとぶつかり、警護員が女性を押しのけた。この様子を収めた動画が拡散され、「過剰な対応」として波紋が広がった。被害を訴えた女性はあざになった体の写真を公開し、怒りをあらわにした。当時の報道によると、所属事務所は、セサン(芸能人の私生活を追いかけるファン)が空港入り口からメンバーに執拗に接触を試み、マネージャーや警護員が複数回にわたって口頭で制止したにも関わらず接触し、メンバーを押すような形となったため、物理的に力を使うような対応となったと説明した。さらに事務所は「過剰対応だったと認識しており、警備会社と当該警護員に対し、再発防止を求めた」とした。これに被害女性は「私はセサンではない。グループに迷惑をかけたくなくて黙っていたのに、一方的な言い分で私を悪者にした」と怒りをあらわにした。

そして、今月18日、メンバーが仁川空港の入り口に向かう際、警護担当者らは手をつなぎメンバーを囲うようにして一緒に移動。この様子を収めた動画が19日、拡散し、またしても警護のあり方が問われることとなった。聯合ニュースは「ネットユーザーからは『大統領にもあそこまでしない』『通行の妨げではないか』といった批判が相次いでいる。一方で、『熱狂的なファンの突発的な行動は想像を絶する』として、不可避な措置だと擁護する意見も出ている」と伝えた。

聯合によると、仁川空港での芸能人の警護をめぐっては、空港の保安要員があらかじめ混雑に備えられるようにするため、仁川国際空港公社は現在、警備会社から事前に「空港利用計画書」の提出を受けるようにしているという。今回も計画書は提出されていたというが、聯合は「今回のように一般客の通行を阻害するような警護形態が後を絶たないのが現状だ」と伝えた。
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