韓国の1月の出生数は2016年から9年連続で減少するも、昨年12.5%の増加に転じた。そして今年も10%台の増加率を維持した。出生数が増加傾向となっている要因について大統領直属の少子高齢社会委員会は「エコブーム世代の女性が主な出産年齢に達し、出産可能な女性の数が増えたほか、新型コロナウイルスの流行による婚姻の遅れが解消されて婚姻数が伸び続けている。結婚・出産に対する認識の変化、少子化対策のための各種制度改善といった政策的効果が加わったことによるものだ」と分析している。
1月の合計特殊出生率も1.0に迫る0.99を記録し、2024年1月に月別の統計を開始して以降、最高値を更新した。韓国の出生率は年別では1984年に1.74となり、初めて2を下回った。2000年代に入ると1.1~1.3を推移し、2018年には0.98と遂に1を割り込んだ。経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で出生率が1を下回っているのは韓国だけだ。2018年以降も歯止めがかからず、2020年には0.84、2021年は0.81、2022年は0.78、そして2023年はさらに最低値を更新して0.72となった。
少子化がここまで進んだのは、結婚する人が減ってきたことが最大の要因とされる。超学歴社会、就職難の韓国において、激しい競争の末に格差は広がり、経済的不安から結婚や出産に踏み出せないケースも少なくない。韓国では2000年代はじめに恋愛、結婚、出産を諦める「3放」という言葉が生まれた。ライフスタイルが多様化し、結婚をしない選択をする女性もおり、それも一つの価値観として尊重すべき時代にもなっている。
韓国で少子化が大きな社会問題として浮上したのは2000年代はじめからだ。2003年に発足したノ・ムヒョン(盧武鉉)政権から少子化対策に本腰を上げて取り組むようになった。2024年6月、当時のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「人口国家緊急事態」を宣言。尹氏は「少子化問題を克服するまで国家的な総力態勢を敷く」とした。同年には子育て支援3法(男女雇用平等及び仕事・家庭両立支援に関する法律、雇用保険法、勤労基準法の改正法案)が可決。少子化の傾向を反転させるため、育児休業期間の延長、配偶者の出産休暇の拡大など、仕事と家庭の両立支援策を推進するため、制度的基盤の整備を図った。イ・ジェミョン(李在明)現政権も少子化への対策を進めている。昨年8月の日韓首脳会談では、両国の共通課題の一つである少子高齢化について共に対応することで合意した。韓国政府は少子化対策として2026年度予算に35兆8000億ウォン(約3兆7800億円)を計上。0歳児世帯につき100万ウォンを支給するほか、児童手当(月10~12万ウォン)の支給対象年齢の上限を7歳から8歳に引き上げた。夫婦が育児休暇を同時に取得した場合、最大で年間5920万ウォンを支給する。
企業でも現金給付や産休・育児休暇の拡充など少子化対策が進んでいる。韓国の建設大手、プヨングループでは、2004年から、子どもが生まれた社員に出産祝い金を支給している。その支給額は子ども1人当たり1億ウォン(約1063万円)と破格なものだ。第2子以降も制限なく支給し、これまでに子供134人分、134億ウォンを支給したという。今年も2月に祝い金の授与式があり、社員36人に支給された。同グループの社内の出生数は右肩上がりで増えているという。制度開始前の3年間は1年平均の出生数が23人だったが、昨年の出生数は36人と1.5倍以上になっている。報道によると、イ・ジュングン会長は「少子化が続けば、20年後には経済人口と国を守る人材が不足し、最終的には国家存立の危機に直面する可能性がある」と危機感を抱いていたといい、「出生率が1.5になるまで減額せずに続けるつもりだ」と話しているという。
政府や自治体、企業の取り組みもあってか、韓国国家データ庁が2月に発表した2025年の合計特殊出生率は0.80となり、23年の0.72、24年の0.75から2年連続で上昇した。年間出生数は24年から25年にかけて6%以上増加し、2010年以来最大の伸び率となった。
前述のように1月の合計特殊出生率は0.99と10年ぶりに1に近づき、増加傾向続いていることがうかがえる。KBSによると、専門家らは、出生数の増加が一時的な反発にとどまるか、それとも構造的な変化につながるのか、引き続き見極める必要があるとしている。
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