<W解説>韓国で「国際的な恥」と批判出ても無くならぬ飲酒運転=規範意識の改善、依然課題
<W解説>韓国で「国際的な恥」と批判出ても無くならぬ飲酒運転=規範意識の改善、依然課題
韓国・ソウルで昨年11月、飲酒運転をして日本人観光客の母娘をはね、母親を死亡させたとして危険運転致死傷罪などに問われている30代の男の論告求刑公判が今月3日、ソウル地裁で開かれた。検察は懲役7年を求刑した。事故は被害者が日本人だったこともあり、当時、日本でも大きく報じられた。「韓国の飲酒運転事故は日本の5倍」などと指摘され、韓国メディアも「国の恥がさらされた」などとして、飲酒運転の厳罰化を訴えた。しかし、規範意識の改善は依然、課題で、先月23日にも、ソウル市内で、飲酒運転の車が歩道に突っ込み、日本人女性2人を含む計4人が重軽傷を負った。

昨年11月の事故は、観光客も多く訪れるソウルの繁華街・トンデムン(東大門)付近の交差点で起きた。青信号の横断歩道を10人ほどが渡っていたところ、白い乗用車が突っ込み2人をはねた後、歩道を横切り、その先の茂みに乗り上げた。車を運転していた30代の男からは免許取り消しレベルのアルコールが検出され、飲酒運転と危険運転致死傷の疑いで現行犯逮捕された。男は当時、調べに対し、「自分がどうやって運転してここに来たかわからない」と話したとされる。その後の調べで、男は知人らとゴルフをした後、繁華街に移動し、飲食店を3軒はしごした。さらに4軒目の店で瓶ビールや焼酎を飲んだとされる。被害に遭ったのは日本人観光客の親子で、母親は死亡、娘はろっ骨を折る重傷を負った。母娘は2泊3日の日程で韓国を訪れた初日に事故に遭った。

当時、日本の各メディアもこの事故を大きく報じた。テレビ朝日は事故を詳報しながら「韓国では、こうした飲酒運転が深刻な社会問題になっている」とし、「飲酒運転の摘発件数は年間13万件を超え、日本の6倍。人口が日本の約半分ということを踏まえても多い数字で、再犯率が高いのも特徴」と伝えた。TBSは事故翌月の昨年12月、独自に入手した防犯カメラの映像を放送。映像からは事故の約30分前、4軒目の店から出てきた男が、ふらついたり、車のボンネットに腰掛けたりする様子が確認できた。その後、男は車に乗り込み、一方通行の道を逆走して行った。

韓国検察庁によると、韓国における2024年の飲酒運転による交通事故件数は1万1307件。このうち、血中アルコール濃度が免許取り消しレベルの0.08%を超えていた事故は8396件で、全体の76.1%を占めた。中でも、0.15%以上の高濃度状態で事故を起こした件数は369件(32.8%)に上った。

韓国で飲酒運転が後を絶たない背景に、「刑罰の軽さ」が指摘されている。韓国の危険運転致死罪の法定刑は「無期または3年以上の懲役」で、日本の「1年以上20年以下の拘禁刑」より重いものの、韓国の大法院(最高裁判所)は同罪の量刑基準を悪質な場合でも「懲役4~8年」としている。懲役10年以上の判決が下されるのはまれで、約95%で執行猶予付きの判決が出ているという。昨年11月の事故当時、国民からは、「法律は厳しいが処罰は甘い」との批判の声が相次いだ。

今月3日、男の論告求刑公判がソウル中央地裁であり、検察側は懲役7年を求刑した。韓国メディアが伝えたところによると、検察側は「遺族が受けた被害はいかなる金銭的補償でも回復できない」と指摘。また、「被害者が日本国籍であるため日本のメディアでも注目され、韓国の量刑の軽さを懸念する報道が相次いだ」と強調した。一方、被告は「普段は飲酒時に運転代行を利用しており、事故当日も数回呼び出しを試みた」とし、「どの時点で運転することになったのか記憶にない」とした。最終意見陳述では涙を流しながら「私の過ちで親孝行の旅行が悲劇に変わったと思うと、胸が張り裂ける思いだ」とし、「今後は禁酒し、運転を含め全ての行動に大きな責任を持って生きていく」と述べた。判決は来月12日に言い渡される。

事故当時、韓国メディアからは「飲酒運転に寛大という韓国のイメージは国際的な恥」と規範意識の改善を訴える社説も出たが、依然として事故は起きている。先月23日にも、ソウル市マポ(麻浦)区のホンデ(弘大)入口駅付近で乗用車が歩道に突っ込む事故があり、日本人女性2人を含む計4人が重軽傷を負った。運転していた50代の男からはアルコールが検出され、警察に飲酒運転の疑いで現行犯逮捕された。
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