<W解説>北朝鮮、金総書記・娘の奔放な行動が話題=韓国の情報機関は「後継者と見てよい」と判断
<W解説>北朝鮮、金総書記・娘の奔放な行動が話題=韓国の情報機関は「後継者と見てよい」と判断
韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の「ジュエ」氏とされる娘について、「後継者と見てもよさそうだ」との見解を示した。国情院は今年2月、娘が一部の政策に意見を述べる様子が確認されているとして、正恩氏の後継者として「内定段階に入ったと判断している」との分析を示していたが、今回、さらに判断を強めた形だ。一方、ジュエ氏はこのほど首都・ピョンヤン(平壌)市内に新たに整備された商業地区を正恩氏に同行する形で視察したが、そこで見せた自由奔放な行動が話題になっている。

ジュエ氏が公の場に初めて姿を見せたのは、2022年11月のことだった。北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞などは当時、ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星17」の発射に成功したと報じる記事の中で、「火星17」の前を白いダウンコート姿の少女が正恩氏と手をつないで歩く写真などを掲載。「『愛するお子様』が同行した」と伝えた。

その後もジュエ氏は正恩氏の軍事分野などの視察に同行するなど、その姿が北朝鮮メディアを通じて度々公開されてきた。北朝鮮指導者の子どもがこれほど早くから公の場に登場することは過去になく、国家機関の一員となるまでは人目に触れないようにしておくという従来の慣例からすると異例な状況となっている。

正恩氏はリ・ソルジュ(李雪主)夫人との間に3人の子供がいるとされ、当初、ジュエ氏とされる少女は正恩氏の第2子との見方が有力だった。しかし、韓国政府系のシンクタンク、統一研究院の院長は2023年5月、この少女が第1子の可能性が高いとし、「後継者の候補に含まれているとみている」との見方を示した。また、国家情報院は2024年1月、ジュエ氏について、「有力な後継者とみられる」との見解を示した。さらに同年7月には、ジュエ氏が「後継者教育を受けている」とする分析結果を国会に報告した。ただ、他のきょうだいが後継者になる可能性も排除しなかった。同年11月には、もう一段階踏み込み、ジュエ氏について「地位の格が上がっている」との見方を示した。

ジュエ氏は昨年9月、中国・北京で開かれた抗日戦争勝利80年の記念式典に正恩氏が出席した際に同行。父親の外遊に同行する姿が確認されたのは初めてのことだった。韓国紙の東亜日報は当時、「ジュエ氏の訪中は、直接的な外交行事への参加というよりも、広い意味での後継者教育との見方もある」と伝えた。

また、ジュエ氏は今年1月1日、正恩氏の祖父、キム・イルソン(金日成)主席と、父のキム・ジョンイル(金正日)総書記の遺体が安置されているクムスサン太陽宮殿を父親の正恩氏に同行する形で参拝。朝鮮中央通信が配信した、宮殿で撮影されたとみられる集合写真は、ジュエ氏が正恩氏と妻の李夫人に挟まれ最前列中央に立ち、後方に党幹部らが並ぶ構図になっていた。同宮殿は体制の正当性を象徴する場所なだけに、専門家からは、ジュエ氏の訪問は後継者としての立場を公に示したものとの見方が出ていた。

韓国の国情院は今年2月、ジュエ氏に関連するこれらの状況に加え、最近はジュエ氏が一部の施策について直接意見を述べる場面も確認されていることも根拠に、ジュエ氏が「後継者教育」から「後継内定」の段階に移行したとの見方を示した。

さらに、国情院のイ・ジョンソク院長は、今月6日に非公開で行われた国会情報委員会への報告で、ジュエ氏について、「後継者と見てもよさそうだ」との見解を示したという。委員会の出席議員が報道陣に明らかにした。ジュエ氏は先月、平壌の訓練基地で行われた合同訓練の正恩氏の視察に同行。北朝鮮メディアはこの際、ジュエ氏が戦車に乗る姿を公開した。こうした動きについて国情院は「後継者時代の正恩氏をオマージュした演出だ」と指摘。ジュエ氏が最近、主に国防分野の活動に登場しているとし、これは女性後継者に対する疑念を払しょくし、後継者の筋書きを構築するための布石だとの見方を示した。

ジュエ氏は今月はじめ、平壌の新興住宅地、ファソン(和盛)地区を正恩氏と共に視察。この際のジュエ氏に様子について、韓国紙の朝鮮日報は「北朝鮮メディアが公開した映像や写真を見ると、ジュエ氏は父のキム・ジョンウン(金正恩)総書記と言葉を交わす際に指で金氏の胸元を押す無邪気な行動を見せた」と指摘。「北朝鮮で最高尊厳としてあがめられる指導者に対し、このような行動を取る様子が公式メディアを通じて映し出されるのはこれまでの北朝鮮体制では想像もできなかったことだ」と解説した。

金親子は、同地区内にできたペットショップも視察。北朝鮮メディアが公開した写真には、正恩氏が後ろで見守る中、ジュエ氏が猫をなでたりする様子が写っていた。同紙は「ジュエ氏はすぐ横のキャットタワーの周りを自由に動き回るなど、行事に集中していないのは明らかだった」とし、「これは北朝鮮でジュエ氏が享受する特別な地位と権威を示すものと考えられる」と分析。「ジュエ氏に与えられた特別な自由とその行動は、ジュエ氏の政治的な立場が非常に高いことを国内外に誇示すると同時に、『白頭血統(金日成主席に連なる直系血統)』の4代目として自然な形の世代交代と後継構図を固める狙いがあるとみられる」と伝えた。

Copyright(C) wowneta.jp