李氏は10日、イスラエル兵がパレスチナ人の子どもを建物の屋上から落としたとする映像を引用し、Xに「事実なら調査が必要」と投稿。イスラエルの行為を「慰安婦問題や、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)、戦時下の殺害と本質的に変わらない」と非難した。さらに李氏は、数時間後の投稿で、動画は2024年9月のもので、米国の当局者が「容認できない行動」と言及し、既にイスラエル側でも調査が行われ、イスラエル兵が命の危険に直面した状況で起きたことが確認されたと説明。「どのような状況でも、国際人道法は順守されるべきであり、人間の尊厳も妥協できない最優先の価値として守られるべきだ」とした。
これに対し、イスラエル外務省は11日、Xで「2024年の事件を現在の出来事のようにねじ曲げて提示した」とし、「李大統領はホロコースト追悼日を前にユダヤ人虐殺を軽視する発言を行った。これは受け入れられないし、強く糾弾されるべきだ」と反発した。
今回の李氏の投稿は波紋を広げており、最大野党「国民の力」の重鎮、アン・チョルス議員は13日、李氏の投稿についてSNSで「事実上の利敵行為だ」とし、「同盟国である米国とイスラエルがイランと中東戦を行っている状況で、米国の相次ぐ要請には沈黙し、イスラエルだけを敵対視するのは、結局のところ同盟の敵に便乗する行為だ」と批判した。野党「改革新党」のイ・ジュンソク(李俊錫)代表は11日、「国内向けの振る舞いが、国の品格に影響を与えている」と批判した上で、「今回の問題がどのように起きたのかしっかり点検し、外交的に遅くならないよう正して、大統領のオンライン疎通方式を見直す必要がある」と強調した。一方、与党「共に民主党」のチョン・チョンレ代表は13日、「韓国の外交史に一線を引いた李大統領の立場を強く支持する」とした。ファン・ミョンソン最高委員も「世界10位の経済圏を持つ韓国が国際問題に明確な声を上げるのは当然だ」と擁護した。
韓国紙のハンギョレは13日掲載の社説で、「民間人を対象とした戦争犯罪は、人類の普遍的な人権にかかわる問題だ」とした上で、「これに対する批判を、『ホロコースト軽視』だと決めつけるのは、自分たちへの批判には徹底的に耳を塞ぐというこれまでの姿勢を貫いたことに過ぎない」とイスラエルを批判した。
一方、朝鮮日報は、李氏の発言を受け、「両国関係は1962年の国交樹立以来、最悪の状況を迎えた」と指摘。イスラエル外務省が「強い糾弾(condemnation)」という表現を使って反発したことを挙げ、「これは、通常の友好国の首脳による発言に対して使われる外交的表現をはるかに超える厳しい水準」とし、「特に『condemnation』は通常、敵対国の挑発や深刻な国際法違反行為を非難する際に使われる最高レベルの外交用語であるという点に問題の深刻さがある」と解説した。
韓国とイスラエルは伝統的に友好関係にあり、安全保障分野で強固な協力関係を維持している。1962年に大使級の外交関係を樹立。韓国はイスラエルの経済・文化の中心地、テルアビブに、イスラエルはソウルにそれぞれ大使館を置いている。
今回、李氏がイスラエルを批判した背景には、人権問題に厳しい姿勢を示そうとしただけでなく、中東情勢の混迷が続く中、韓国経済も大きな打撃を受けている現状に、イスラエルにもその責任があると示唆したとの見方も出ている。米国のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は今月7日(現地時間)、「イラン戦争が始まって1か月が過ぎた3月2日時点で、非戦闘国のうち韓国が最も深刻な影響を受けていることがわかった」との調査結果を公表した。米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦を受けて、韓国経済は物価高、高金利、ウォン安の「三重苦」に直面しており、李氏は今月2日の国会での施政方針演説で「経済が戦時下という深刻な認識を持ち、当面の危機を打開するため総力を挙げる」と述べている。
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