<W解説>韓国・李大統領肝いり、行政都市・世宗市に「大統領執務室」建設へ
<W解説>韓国・李大統領肝いり、行政都市・世宗市に「大統領執務室」建設へ
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が、自身の任期中に大統領執務室を中部の行政都市・セジョン(世宗)市に設ける意向を示している中、今月15日、敷地の造成工事のための入札公告が行われた。通信社の聯合ニュースは「手続きが順調に進めば、来年8月に建物の建設工事が始まる見通しだ」と伝えた。

歴代の政権は、ソウル首都圏への一極集中の解消を推進してきた。ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領が「行政都市・世宗市」構想を掲げて以降、同市には多くの行政機関が移転した。都市開発も進み、市域の人口は開発前の10万人から、現在は40万人近くにまで増えた。将来的には80万人を想定している。

李大統領もソウル首都圏への一極集中のさらなる解消を目指している。李氏は昨年12月に開かれた大統領直属の地方時代委員会の報告会で、「分権と均衡発展、自治の強化は、韓国の持続可能な成長に欠かせない国家的生き残り戦略だ」と首都圏一極体制の緩和の重要性を強調した。李氏は国家均衡発展に関する公約で、全国を5つの超広域圏と3つの特別自治道に再編する「5極3特」を軸に、地域ごとに最適化した成長を目指す戦略を掲げている。李氏は「今後は、5極3特を軸とした多極体制を整備し、新たな成長動力を確保する必要がある」とした上で、「財政の配分だけでなく、国家政策の決定においても、首都圏から遠い地域により重点を置き、強力に進めていく」と地方優遇策を強化する考えも示した。

ユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領は、大統領府をそれまでのソウル・青瓦台からソウル・ヨンサン(龍山)の旧国防部庁舎に移転させたが、李氏は昨年6月の大統領選の候補者時から、龍山の大統領府について、「盗聴や警護問題などが深刻だ」と指摘し、「私が当選したら、いったん龍山の大統領室(府)を使うが、青瓦台を迅速に改修して移った方がいい」として、大統領府の機能を青瓦台に戻す方針を表明した。方針通り、大統領府は青瓦台に戻り、李氏は昨年末から、青瓦台で執務に当たっている。

李氏はこの過程で、中・長期的には世宗市の行政機能拡大や、大統領執務機能の分散についても検討が必要との考えを表明。世宗市に「大統領世宗執務室」を建設することになった。ただ、同室は執務機能を全面的に移すものではなく、ソウルと世宗を行き来しながら国政運営の効率を高めるための「第2の執務空間」と位置付けられている。

昨年12月、李氏は執務室の建設スケジュールについて、行政中心複合都市建設庁の庁長から2030年の完工が目標との説明を受け、「少し急がなければならない」と話した。李氏の大統領の任期満了は同年で、李氏は退任式を世宗で行う意向を示している。李氏は同年に完工した場合、執務室を使う期間がわずかになると指摘した一方、「早まればいいということであり、無理をする必要はない」とも述べた。その後、同庁は1月の業務報告で、執務室の設置完了目標を29年8月と提示した。

同庁は執務室などが入る世宗市国家象徴区域の造成を担当する「大統領世宗執務室建設団」を既に設置し、事業を進めている。建設団は大統領執務室課、国家象徴区域造成チーム、疎通協力チームの3部署で構成。執務室の設計や事業管理、対外協力機能を統括している。

建設予定の執務室について、今月15日、敷地の造成工事のための入札公告が行われた。敷地面積は約35万平方メートルで、事業費は98億ウォン(約10億5200万円)。建物は来年8月に着工予定。大統領府のイ・ギュヨン広報疎通首席秘書官は「今回の工事は、国家均衡成長において象徴的で重要な意味を持つ」とし、「行政首都の完成という国民との約束を文書上の計画や政治スローガンだけで終わらせず、行動に移すことが『くわ入れ』となるためだ」と強調した。
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