セウォル号は2014年4月16日、ソウル近郊のインチョン(仁川)市の仁川港から南部のチェジュド(済州島)へ航行中、珍島郡のクァンメド(観梅島)沖の海上で転覆、沈没した。事故当時、船長らは乗客を救助せずに脱出し、待機を求める船内放送に従った乗客らが犠牲となった。修学旅行中の高校生も多数乗船しており、この事故で高校生ら299人が死亡、5人は今も行方不明のままだ。事故をめぐっては、発生後の船会社、海洋警察などの対応の不手際も問題視された。また、当時のパク・クネ(朴槿恵)政権の初動対応にも批判が集まり、その後の政権崩壊につながった。
昨年4月、海洋審判院は事故の原因について、操舵装置の不具合と復原力不足など、船体の欠陥によるものと結論付けた。審判院は、それまで指摘されてきた潜水艦との衝突など、セウォル号が外的要因によって沈没した可能性を完全に排除。「船舶引き揚げ後の調査を通じて確認された結果をみると、セウォル号の船体の損傷部位などに、急激な旋回などを発生させた外力の跡と断定できるものはみられなかった」と説明した。操舵室の不具合による船体の急旋回と、過度な船体の改造によって復原力が低下した状況下で許容量の2倍以上の貨物を船積みしたことなど、船体の複合的な要因が事故の原因だったと判断した。
今月16日、事故から12年となるのに合わせ、韓国各地では追悼行事が行われた。李大統領は現職大統領として初めて出席した。李氏は安山市で行われた追悼式で「毎年この時期になると、言葉では言い表せないつらい思いと向き合うことになる。12年が過ぎたが、あの日の記憶は今なお昨日のことのように鮮明に刻まれている」とし、「愛する人を失った深い悲しみの中でも、その切実な記録を事細かに残し、より安全な社会をつくるために献身してこられた遺族の皆さまに、心から敬意を表する」と述べた。その上で、「大韓民国の大統領として、重い責任を感じている」とし、「あの日の過ちとその重い教訓を一時も忘れず、二度と同じことが繰り返されないようにすることをここで誓う」と述べた。
セウォル号事故は韓国社会に大きな衝撃を与え、「安心・安全」な社会の構築を求める国民の声は高まったが、その後も国内では大規模事故が相次いで起きている。2022年10月には、ハロウィーンを前にした週末で人がごった返していたソウルの繁華街、イテウォン(梨泰院)の通りで雑踏事故が起き、日本人2人を含む159人が死亡した。24年12月には、南西部のムアン(務安)空港でチェジュ(済州)航空の旅客機が着陸時に不具合を起こして胴体着陸し、滑走路の先にあった土手状のコンクリート構造物に衝突した。この事故で、乗員・乗客179人が死亡した。この事故は、韓国国内で発生した旅客機事故としては最大の被害となった。韓国紙のハンギョレは16日の社説で「市民は、セウォル号惨事の根本原因であった『収益が先で安全は後回し』という社会から脱却することを切に願っている」と訴えた。
こうした中、与党「共に民主党」は、大規模な事故の防止と国家の責任を強化するための「生命安全基本法」の早期成立を目指している。
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