イランは先月、米国・イスラエルによる攻撃に対抗し、ホルムズ海峡を封鎖。石油タンカーが足止めされ、世界の原油価格が上昇し、韓国も石油価格が高騰している。韓国政府は先月13日、燃料価格の安定のため、「石油最高価格制」を29年ぶりに導入。今月10日には3回目の実施に踏み切った。3回目の最高価格は2回目と同様、ガソリン1リットル当たり1934ウォン(約207円)、軽油1923ウォン、灯油1530ウォンとした。また、先月25日からはソウル市など全国の市・道で、政府や地方自治体、公共機関に出入りする車両に対し、週1回の通行規制を行っている。
ホルムズ海峡の封鎖により、韓国船舶は26隻が足止めされた。先行きが不透明な中、韓国政府は6日、海峡封鎖に伴う代替ルートとして紅海の航行を許可する方針を示した。キム・ジョングァン産業通商部(部は省に相当)長官は同日の閣議で、「一定の要件を満たすタンカーの紅海通航を許可するなど、民間での原油確保への努力を支援する」と説明した。同日、これを伝えた韓国の通信社、聯合ニュースは、紅海ルートについて「ホルムズ海峡の封鎖で利用できないペルシャ湾に代わり、東部油田地帯の原油を全長1200キロのパイプラインで輸送し、サウジアラビア西岸のヤンブー港から輸出する迂回(うかい)路。パナマ、香港、中国、シンガポールなど、1日平均39隻の原油タンカーや貨物船が紅海の出口であるバブ・エル・マンデブ海峡を利用している」と解説した。
一方、紅海はイラン支援勢力であるイエメンのフーシ派反政府武装勢力の活動拠点で、2023年10月のイスラエルとハマスの武力衝突以降、79件の船舶被弾が発生している。韓国政府は船舶被弾などの危険性から、最近まで、紅海航行の自粛を勧告してきた。しかし、事態の長期化を受けて、運航の許可に踏み切った。海洋水産部のファン・ジョンウ長官は6日の閣議で、同部の総合状況室とソマリア沖のアデン湾で活動する韓国軍の部隊が位置情報などをモニタリングし、船員と船舶の安全確保に万全を期すと説明した。また、ファン氏は、荷主と海運会社間の輸送契約が確定した原油タンカーの情報について産業通商部と共有し、海運会社に対し、紅海の運航が可能なことを通知したことを明らかにした。
海洋水産部は17日、サウジアラビアのヤンブー港で原油を積載した韓国の船舶が、紅海を安全に通過したと発表した。ファン氏は「今後も韓国の船舶と乗組員の安全を考慮し、関係機関及び業界と協力して中東地域で韓国の船舶による原油の国内輸送が支障なく行われるよう最善を尽くす」と述べた。イ・ジェミョン(李在明)大統領も同日、SNSを通じ、「ホルムズ海峡封鎖後、初めて紅海を通じて原油を安定的に輸送しているという喜ばしいニュースだ」とし、「関係省庁がワンチームで動いたことで得られた貴重な成果だ」と投稿した。さらに李氏は「困難な状況下でも昼夜を問わず尽力して下さった全ての方々、特に船員の皆さんに感謝の意を表する」とつづり、「政府は中東情勢がもたらした危機を乗り越えるために全力を注いでいる」とし、「今後も徹底した対応と万全の準備で国民の生活と国益を守ることに渾身(こんしん)の力を尽くす」と述べた。
一方、ホルムズ海峡をめぐっては、イスラエルとレバノンが合意した10日間の停戦が発効したことを受けて、イランのアラグチ外相は17日、「ホルムズ海峡を通過する全ての商船の航行は残りの停戦期間中、イランが指定した航路を通じて完全に開放される」と表明。これを受けて同日、貨物船など約20隻がペルシャ湾から出ようと海峡に向けて航行したものの途中で停止し、一部は引き返した。18日、イランの軍事当局は海峡について「以前の状態に戻り、厳格な管理・統制下に置かれた」とし、「再封鎖」したことを明らかにした。
韓国は今回、迂回路の紅海を経由した原油の輸送に成功したが、迂回ルート、ホルムズ海峡ともに船舶通過は依然、容易ではなく、韓国も他国同様、今後も原油の調達に苦慮する状況が続きそうだ。
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