<W解説>北朝鮮・平壌国際マラソン大会中止も、ロシア人には特別対応?
<W解説>北朝鮮・平壌国際マラソン大会中止も、ロシア人には特別対応?
北朝鮮で今月開催予定だったピョンヤン(平壌)国際マラソン大会が中止になった中、北朝鮮側が、参加を予定していたロシア人約50人を対象に代替のランニングプログラムを実施していたことがわかった。北朝鮮とロシアは親密な関係にあり、専門家からは、「西側には依然として門戸を閉ざしつつ、ロシアには選別的に開放する姿勢の表れだ」との見方が出ている。

平壌国際マラソン大会は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の祖父、キム・イルソン(金日成)主席の生誕記念日である4月15日の「太陽節」を記念して1981年に始まった。大会は近年、閉鎖的な北朝鮮において外国人観光客が国内に足を踏み入れる数少ない機会として注目されてきた。しかし、世界で新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年から中止に。北朝鮮は、コロナ収束後も外国からの人の流入に慎重姿勢を貫いたが、昨年は6年ぶりに大会を開催した。北朝鮮の市民ランナーのほか、中国や英国、ポーランドなどから外国人ランナーも多数参加した。

昨年の大会を機に、北朝鮮が外国人観光客の受け入れを本格化させるかに注目が集まった。昨年6月には、東部のウォンサン(元山)に、金総書記の肝いりのリゾート「カルマ(葛麻)海岸観光地区」が整備された。同地区内にはスポーツ・レジャー施設のほか、約2万人が宿泊できる施設があるとされる。同地区の整備事業には巨額の予算が投じられたという。採算を取るためにも外貨獲得が期待できる外国人観光客の受け入れは不可欠で、金氏も完成時「世界的な観光地として魅力を示すことになる」と述べた。同地区は整備後まもなく外国人観光客の受け入れが始まったものの、すぐに中止となった。理由は明かされなかったが、想定よりも外国人観光客の需要が低調だったことや、外国人が現地を訪れることで内実が外部に知られることを北朝鮮側が懸念したとの見方が当時広がった。

昨年12月には北東部のリャンガンド(両江道)のサムジヨン(三池淵)観光地区に、計5つのホテルが新設された。同地区は、中朝国境のペクトゥサン(白頭山)のふもとにあり、スキー観光地に位置付けられている。完成当時、北朝鮮メディアによって竣工式の様子が大々的に報じられた。公開されたホテル内部の写真からは「記者センター」と書かれた案内板も確認でき、今後、ホテルを大規模行事や国際会議の会場として使用することも想定していることをうかがわせた。

昨年11月、中国に拠点を置く北朝鮮専門旅行会社「高麗ツアーズ」は「2026年平壌マラソン」の参加ツアー募集の告知を掲載。500人を募集したところ、わずか5時間ほどで予約が全て埋まった。北朝鮮としてはファソン(和盛)地区などに最近、新たに建設された高層住宅や症状施設を対外的にアピールする絶好の機会ともなり得た。北朝鮮が大会を機に、再び外国人観光客の誘致に乗り出すかと注目も集まったが、先月、高麗ツアーズは北朝鮮の陸上協会から大会中止の決定を通知されたと明らかにした。開催まで1か月を切った段階で突然中止を決めた理由は不明で、それだけに憶測が広がった。韓国の通信社、聯合ニュースは「一部では、米国によるイランへの軍事行動など、不安定な国際情勢が中止の決定に影響を及ぼしたのではないかとの見方も出ている」と伝えた。

一方、北朝鮮関連のニュースを専門とする独立系ニュースサイト、NKニュースによると、北朝鮮側は中止となった大会の代替プログラムとして、ロシア人に限り特別な代替ランニングプログラムを提供したという。参加したのはロシア人約50人で、一行は今月初めに北朝鮮を訪問。当局は、競技場内で一定時間の自由ランニングを認めた。一方、市内中心部を走ることは許可しなかった。

北朝鮮はロシアと親密な関係にあり、現在、外国人観光客の受け入れに関してもロシア人観光客を中心としている。今回中止となった国際マラソン大会の対応をめぐって、「ロシア別格扱い」が改めて浮き彫りになった。
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