<W解説>SNS駆使し、政策・考え積極発信の韓国・李大統領=場当たり的と批判も
<W解説>SNS駆使し、政策・考え積極発信の韓国・李大統領=場当たり的と批判も
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が重要な政策や懸案について、SNSで場当たり的に発信し続けていると、一部メディアが指摘している。韓国紙の朝鮮日報は今月21日の社説で「大統領の一言は国民生活やマーケットに非常に大きな影響を及ぼす」と指摘。「政策が大統領のスマホメールから始まることが今後も続けば、政府はどうしても軽く見られるし、それは誰も望まないことだ」と主張した。

李氏は、昨年6月の大統領就任以来、X(旧ツイッター)などへの投稿を通じて積極的な発信を続けている。グーグルトレンドによると、李氏のXに関する検索量は今年2月1日に指数100を記録した。グーグルトレンドは、特定のキーワードの検索量の推移を0~100の指数で表すもので、関心の高まりを知ることができる。

李氏の投稿に関しては、従来は李氏の指示を受け、側近が投稿する形が主だったが、最近は李氏自身が直接投稿しているとされる。

重要政策や懸案についても度々自身の意見を発信し続けているが、朝鮮日報は前出の社説でこれを批判した。社説は、李氏がXで不動産長期保有特別控除の段階的廃止方針を表明したことで、「政策の混乱が表面化している」と指摘した。また、李氏は1月、国民の約80%が砂糖税の導入に賛成したとの世論調査結果を伝える記事と共に、Xに「たばこのように、砂糖負担金で砂糖の使用を抑制し、その負担金で地域・公共医療を強化するために再投資…皆さんの意見はいかかでしょうか」と投稿し、砂糖税導入の是非を問うた。しかし、国民が物価高にあえぐ中、小売価格に転嫁され、消費者の負担が増す政策の是非をこの時期に尋ねたことに批判が上がりもした。先月には、「談合によるガソリン価格のつり上げは、国民に対する重大犯罪」と投稿。李氏が石油価格を抑える政策を示唆したことを受け、政府は先月13日、燃料価格の安定のため、「石油最高価格制」を29年ぶりに導入した。しかし、石油代理店業界からは同制度によって経営が圧迫されているとして不満の声が上がっている。同制度導入は、前述した李氏の投稿がきっかけとなったが、社説は李氏が業界に対する調査をしないまま投稿したと指摘。「大統領が口火を切れば政府と与党がそれに対応してきたのだ」とし、李氏がSNSで重要な政策を発信する前に、政府や大統領府、与党などとの調整が行われていない現状を批判した。

昨年6月に大統領に就任した李氏は、X(旧ツイッター)の投稿に関して、昨年までは公式行事の所感や政策の広報などが中心だったが、今年に入ってからは核心的な懸案などについても歯に衣着せぬ発信を行っている。

今年1月には、カンボジアでの韓国人を対象とした犯罪に関連し、Xに「韓国人に手を出せば身を亡ぼすことになる。これが言葉だけだと思ったら大間違いだ。大韓民国はやると言ったらやる。最後まで」と投稿。カンボジアの公用語であるクメール語でも併記した。この投稿に、カンボジアの現地メディアからは、投稿がカンボジア国家全体を犯罪集団として決めつけるかのような誤解を招きかねないとの指摘が出た。カンボジアの外務省は駐カンボジアの韓国大使を呼び、投稿の背景と意図について問うた。こうした状況を受け、李氏の投稿は削除された。

また、李氏は今月、イスラエル兵がパレスチナ人の子どもを建物の屋上から落としたとする映像を引用し、Xに「事実なら調査が必要」と投稿。イスラエルの行為を「慰安婦問題や、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)、戦時下の殺害と本質的に変わらない」と非難した。さらに李氏は、数時間後の投稿で、動画は2024年9月のもので、米国の当局者が「容認できない行動」と言及し、既にイスラエル側でも調査が行われ、イスラエル兵が命の危険に直面した状況で起きたことが確認されたと説明。「どのような状況でも、国際人道法は順守されるべきであり、人間の尊厳も妥協できない最優先の価値として守られるべきだ」とした。李氏の投稿に対し、イスラエル外務省はXで「2024年の事件を現在の出来事のようにねじ曲げて提示した」とし、「李大統領はホロコースト追悼日を前にユダヤ人虐殺を軽視する発言を行った。これは受け入れられないし、強く糾弾されるべきだ」と反発した。

前出の朝鮮日報の社説は「場当たり的かつ過激な言葉がマイナスに作用することもある」と指摘した。

一方、SNSを駆使した李氏の積極的な発信は、国民が大統領の考えを直接知ることができるとして評価する声もある。Xでの発信も一定の効果を生んでいるのか、昨年6月の大統領就任以来、李氏の支持率はおおむね安定している。世論調査会社のリアルメーターが今月20日に発表した調査結果では、李氏の国政運営を「評価する」と答えた人は65.5%で、就任以来、最高を記録した。
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