板門店宣言は18年4月に文氏と金氏が南北首脳会談を行った際に出された。当時、両首脳が軍事境界線を挟んで握手を交わした光景は、南北関係の雪解けを印象付けた。宣言で両首脳は「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島の実現を共同目標にする」と明言。金氏は当時、「われわれはきょう、平和、繁栄、南北関係の新たな歴史が刻まれるスタートラインに立っている」と述べた。
同年6月には、米国のトランプ大統領と金氏が史上初となる米朝首脳会談を行った。共同声明では、トランプ氏が北朝鮮に対して朝鮮半島の持続的で安定した平和体制の保証を約束。一方、金氏は朝鮮半島の完全な非核化に向けて揺るぎない決意を示した。
同年に行われた、この2つの歴史的会談を機に、北朝鮮は非核化に向け舵を切るかと期待されたが、19年の米朝首脳会談で北朝鮮の核保有をめぐる交渉は決裂。昨年7月、金氏の妹のキム・ヨジョン(金与正)党副部長(現総務部長)は核保有国としての地位は「全朝鮮人民の総意によって最高法(憲法)で定められている」などと、核保有の正当性を強調した。
北朝鮮は最近、南北関係を「敵対的な国家関係」と位置づけ、強硬姿勢を取り続けている。金総書記は先月、国会にあたる最高人民会議で、韓国について「最も敵対的な国」とし、「いかなる行為にもちゅうちょなく無慈悲な代価を払わせる」と述べた。演説内容について、韓国紙のハンギョレは当時、「金委員長(総書記兼国務委員長)が演説で示した対南政策を含む対外政策は、従来の『核放棄不可』及び『反統一敵対的2国家』路線の再確認だと考えられる」と指摘した。
一方、昨年6月に韓国大統領に就任した李在明氏は、北朝鮮に対し、事あるごとに対話の再開を呼び掛けているが、糸口を見いだせずにいる。李氏は27日に開かれた板門店宣言から8年になるのを記念する式典に祝辞を寄せ、「戦争の終結と恒久的な平和体制、南北の共存と繁栄は板門店宣言の中核精神であり、われわれが向うべき未来だ」とした上で、「国民主権政府(李政権)は発足以来、朝鮮半島の平和的な共存を最優先の政策目標に掲げた。そのため、南北の信頼回復に向けた先鋭的な措置を講じてきた」とし、「北側の体制を尊重し、吸収統一を追及せず、一切の敵対行為を行わないという原則も明確に示してきた」と強調。北朝鮮に対し、「わが政府の真摯(しんし)な姿勢を信じ、呼応することを期待している」と呼び掛けた。さらに李氏は「平和的な共存と共同成長に向けた努力を一つずつ積み重ねていけば、本格的な春が朝鮮半島に再び訪れると信じている」とした。
また、当時、金氏と宣言を交わした文元大統領はこの日の式典で、北朝鮮に対し、軍事力を増強し、孤立と断絶の壁を高くすることでは真の安全保障を保持することはできないとし、「外部と意思疎通し、交流を拡大することこそが、安全を守る最も実効的な方法だ」と指摘した。また、トランプ氏が金氏との対話に意欲を見せていることに関連し、「8年前のように、南北関係の改善を米朝対話へ進む架け橋にしてほしい」と呼び掛けた。
李氏が祝辞で触れた、朝鮮半島への本格的な春の到来はいつになるだろうか。
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