<W解説>韓国外相、イラン外相にホルムズ海峡の安全な通航求める中、停泊中の韓国企業運航の船が被弾との情報
<W解説>韓国外相、イラン外相にホルムズ海峡の安全な通航求める中、停泊中の韓国企業運航の船が被弾との情報
韓国のチョ・ヒョン外交部長官(外相)が今月2日、イランのアラグチ外相と電話で会談し、中東情勢について意見を交わした。チョ氏はイランが事実上封鎖している原油輸送の要衝ホルムズ海峡で、韓国を含む世界各国の船舶が足止めされていることに言及。通航再開が必要だと強調した。こうした中、韓国の海洋水産部(部は省に相当)は3日、韓国の船舶が迂回(うかい)ルートである紅海を通過し、韓国へ原油を輸送していると明らかにした。韓国船舶が代替航路の紅海を通過したのは先月中旬に続き2隻目。一方、先月28日には日本企業が運航しているタンカーがホルムズ海峡を通過しており、韓国では「日本は通過できたのに、韓国はなぜできないのか」と政府の対応に批判が出ている。また、4日には海峡に停泊中の韓国企業が運航の船舶が爆撃を受けたとの情報があり、政府が確認を進めている。

イランは3月、米国・イスラエルによる攻撃に対抗し、ホルムズ海峡を封鎖。各国の石油タンカーが足止めされ、世界の原油価格が上昇。韓国も石油価格が高騰している。韓国の石油公社の原油価格情報システム「オフィネット」によると、4月の第5週(26~30日)の全国のガソリンスタンドのガソリンの平均販売価格は1リットル当たり2008.6ウォン(約213円)で前週より4.8ウォン上がった。

ホルムズ海峡の封鎖により、韓国船舶も多数の船舶が足止めされた。先行きが不透明な中、韓国政府は先月、海峡封鎖に伴う代替ルートとして紅海の航行を許可する方針を示した。当時、これを伝えた韓国の通信社、聯合ニュースは、紅海ルートについて「ホルムズ海峡の封鎖で利用できないペルシャ湾に代わり、東部油田地帯の原油を全長1200キロのパイプラインで輸送し、サウジアラビア西岸のヤンブー港から輸出する迂回(うかい)路。パナマ、香港、中国、シンガポールなど、1日平均39隻の原油タンカーや貨物船が紅海の出口であるバブ・エル・マンデブ海峡を利用している」と解説した。

一方、紅海はイラン支援勢力であるイエメンのフーシ派反政府武装勢力の活動拠点で、2023年10月のイスラエルとハマスの武力衝突以降、79件の船舶被弾が発生している。韓国政府は船舶被弾などの危険性から、最近まで、紅海航行の自粛を勧告してきた。しかし、事態の長期化を受けて、運航の許可に踏み切った。海洋水産部は、同部の総合状況室とソマリア沖のアデン湾で活動する韓国軍の部隊が位置情報などをモニタリングし、船員と船舶の安全確保に万全を期すとしている。

先月中旬、サウジアラビアのヤンブー港で原油を積載した韓国の船舶が、紅海を安全に通過した。イ・ジェミョン(李在明)大統領は当時、SNSを通じ、「ホルムズ海峡封鎖後、初めて紅海を通じて原油を安定的に輸送しているという喜ばしいニュースだ」とし、「関係省庁がワンチームで動いたことで得られた貴重な成果だ」と投稿した。さらに李氏は「困難な状況下でも昼夜を問わず尽力して下さった全ての方々、特に船員の皆さんに感謝の意を表する」とつづり、「政府は中東情勢がもたらした危機を乗り越えるために全力を注いでいる」とし、「今後も徹底した対応と万全の準備で国民の生活と国益を守ることに渾身(こんしん)の力を尽くす」と述べた。今月3日には、2隻目の韓国の船舶が紅海を通過した。海洋水産部は「今後も原油需給の安定化に向け最善を尽くす」と表明した。

韓国は先月、元駐クウェート大使のチョン・ビョンハ極地協力代表を外相の特使としてイランに派遣した。テヘランではアラグチ外相と会談し、ホルムズ海峡の情勢や両国間の懸案について協議した。

一方、海峡をめぐる緊張が続く中、封鎖によりペルシャ湾内にとどまっていた石油元売り大手、出光興産の子会社のタンカー「出光丸」が海峡を通過したことが先月29日、報じられた。米イスラエルとイランの先頭が2月末に始まって以降、日本関連の船舶は3隻通過したが、原油タンカーは初めてとみられている。駐日イラン大使館はイラン当局が「出光丸」の海峡通過を許可した背景には1953年に起きた日章丸事件があることを示唆した。イギリスがイランの石油に経済制裁をかけていた当時、出光興産のタンカー「日章丸」が、イギリスの反対を押し切り、イランの原油を日本に運んだ。日本政府の意向にも反して「日章丸」の派遣を決断したのは、同社の創業者・出光佐三氏だった。その後、石油資源に乏しい日本と、安定した買い手を望むイランの関係は70年以上わたり保たれてきた。この事件は、日本とイランの親密な関係を象徴する出来事として語り継がれている。駐日イラン大使館は先月29日、SNSに「『ニッショーマル』がイラン産石油を日本へ運んだ歴史的な任務は、両国間の長きにわたる友情の証である」と投稿した。

出光丸のホルムズ海峡通過のニュースは、韓国メディアも伝えたが、韓国の船舶は依然として海峡内にとどまっているとして、「イランに特使を派遣したにも関わらず、成果は得られなかった」(文化日報)などと韓国政府の対応を批判する記事も見られた。

韓国外交部(外務省に相当)の当局者は先月29日、「政府は基本の立場に基づき、韓国とイラン政府間の協議を含め、打開策を積極的に模索している」と述べた。前述のように、今月2日には外交部のチョ外相がイランのアラグチ外相と電話で会談。韓国船舶を含む全ての船舶の安全な通航が再開される必要があると強調した。

こうした中、4日午後8時40分頃、海峡に停泊していた韓国企業が運航するパナマ船籍の船舶が爆発した。韓国の海洋水産部(部は省に相当)は「被弾したと推定される」と発表。情報収集を続けている。
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