海峡をめぐっては、イランが3月、米国・イスラエルによる攻撃に対抗し、事実上、封鎖した。各国の石油タンカーが足止めされ、世界の原油価格が上昇。韓国でも石油価格が高騰している。
先行きが不透明な中、韓国政府は先月、海峡封鎖に伴う代替ルートとして紅海の航行を許可する方針を示した。当時、これを伝えた韓国の通信社、聯合ニュースは、紅海ルートについて「ホルムズ海峡の封鎖で利用できないペルシャ湾に代わり、東部油田地帯の原油を全長1200キロのパイプラインで輸送し、サウジアラビア西岸のヤンブー港から輸出する迂回(うかい)路。パナマ、香港、中国、シンガポールなど、1日平均39隻の原油タンカーや貨物船が紅海の出口であるバブ・エル・マンデブ海峡を利用している」と解説した。
一方、紅海はイラン支援勢力であるイエメンのフーシ派反政府武装勢力の活動拠点で、2023年10月のイスラエルとハマスの武力衝突以降、79件の船舶被弾が発生している。韓国政府は船舶被弾などの危険性から、最近まで、紅海航行の自粛を勧告してきた。しかし、事態の長期化を受けて、運航の許可に踏み切った。先月中旬と今月3日、韓国の船舶が紅海を通過。海洋水産部は「今後も原油需給の安定化に向け最善を尽くす」と表明した。
こうした中、トランプ米大統領はホルムズ海峡に足止めされている船舶を安全に誘導し、海峡を通過させる作戦「プロジェクト・フリーダム」を開始すると表明した。トランプ氏はこの作戦が妨害された場合、断固として対処するとイラン側をけん制した。一方、イランは、海峡に接近、または進入しようとする米軍などは攻撃対象になると警告。アラグチ外相は「プロジェクト・フリーダム」について「プロジェクト・デットロック(行き詰まった計画)だ」などと揶揄(やゆ)した。
米国がこの作戦に着手した4日、海峡付近に停泊していた韓国海運最大手、HMM(旧現代商船)が運航するパナマ船籍のコンテナ船が爆発、炎上した。韓国人6人と外国人18人が乗船していたが、けが人はいなかった。これを受けて、韓国大統領府は5日、カン・フンシク大統領秘書室長主宰の会議を開き、対応を協議した。
こうした中、トランプ氏は爆発・炎上した船舶について、イランの攻撃を受けたものだと主張。「プロジェクト・フリーダム」に言及し、「今こそ韓国がこの作戦に参加する時のようだ」と参加を促した。これに対し、韓国大統領府は5日、「政府は、国際海上交通路の安全と航行の自由は全ての国に共同利益に合致し、国際法上保護されるべき原則であるとの立場のもと、グローバルな海上物流網の早急な安定、回復、正常化に向けて様々な国際的協力に積極的に参加してきている」とした上で、「プロジェクト・フリーダム」について「朝鮮半島の備えや、国内法の手続きなどを考慮して検討中」とした。
韓国紙の中央日報は「韓米同盟の特殊性を考慮すると、目の前に迫ったこうした安保請求書に対して見ないふりを続けるのは難しい立場だ」と指摘した。一方、船舶が爆発・炎上した原因は現時点でわかっていない上、作戦に参加することでイランとの関係悪化を懸念されることから、専門家からは慎重論も出た。
韓国が板挟み状態となる中、トランプ氏は5日、イラン側との戦闘終結に向けた交渉に「大きな進展があった」として、作戦を短期間停止すると発表した。韓国メディアのアジア経済は、作戦自体はしばらく停止となったものの、トランプ氏は米軍によるイラン港湾の海上封鎖は続けるとしていることから、「青瓦台(韓国大統領府)や政府の悩みは当面続く見通しだ」と伝えた。
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