<W解説>ホルムズ海峡での韓国企業運航の貨物船火災、未詳の飛翔体による打撃が原因=特定待たれる発射主体
<W解説>ホルムズ海峡での韓国企業運航の貨物船火災、未詳の飛翔体による打撃が原因=特定待たれる発射主体
韓国外交部(外務省に相当)は今月10日、ホルムズ海峡に停泊中の韓国企業が運航する船舶で4日に発生した爆発と火災について、原因は未詳の飛翔体による打撃だと発表した。発射の主体については現時点で不明で、大統領府は追加の調査が必要だとしている。4日の爆発と火災は、米国のトランプ大統領が打ち出した、ペルシャ湾に足止めされている船舶を誘導してホルムズ海峡を通過させる作戦「プロジェクト・フリーダム」の開始直後に発生。トランプ氏はイランによる攻撃だと発言し、韓国に対しこの作戦への参加を促していた。一方、在韓イラン大使館は7日に、「イラン軍の関与に関するいかなる疑惑も断固として否定する」との声明を発表している。韓国紙の朝鮮日報は「これまで『攻撃ではなかった可能性もある』などと慎重な姿勢を崩さなかった韓国政府も、今後、対応の見直しが避けられない状況だ」と伝えた。

ホルムズ海峡をめぐっては、イランが3月、米国・イスラエルによる攻撃に対抗し、事実上、封鎖した。各国の石油タンカーが足止めされ、世界の原油価格が上昇。韓国でも石油価格の高騰が続いている。

こうした中、トランプ米大統領は前述の「プロジェクト・フリーダム」を開始すると表明した。一方、イランは、海峡に接近、または進入しようとする米軍などは攻撃対象になると警告。アラグチ外相は「プロジェクト・フリーダム」について「プロジェクト・デットロック(行き詰まった計画)だ」などと揶揄(やゆ)した。

米国がこの作戦に着手した4日、海峡付近に停泊していた韓国海運最大手、HMM(旧現代商船)が運航するパナマ船籍のコンテナ船が爆発、炎上した。韓国人6人と外国人18人が乗船していたが、けが人はいなかった。これを受けて、韓国大統領府は5日、カン・フンシク大統領秘書室長主宰の会議を開き、対応を協議した。

こうした中、トランプ氏は爆発・炎上した船舶について、イランの攻撃を受けたものだと主張。「プロジェクト・フリーダム」に言及し、「今こそ韓国がこの作戦に参加する時のようだ」と参加を促した。これに対し、韓国大統領府は5日、「プロジェクト・フリーダム」について「朝鮮半島の備えや、国内法の手続きなどを考慮して検討中」とした。

しかし、トランプ氏はイラン側との戦闘終結に向けた交渉に「大きな進展があった」として、「プロジェクト・フリーダム」を短期間停止すると発表。作戦表明からわずか2日での停止発表だった。これを受けて韓国大統領府は「(参加の)検討は必ずしも必要ではなくなった」との立場を示した。

一方、「プロジェクト・フリーダム」の開始直後に起きたHMMの貨物船の爆発・火災について、韓国政府の合同調査団は10日、「未詳の飛翔体による打撃を受けた」と発表した。しかし、現時点で発射主体のほか、飛翔体の機種や大きさなどは特定できていない。このことに関連し、通信社の聯合ニュースは「イラン政府はこれまで同船舶の爆発・火災に自国軍が関与していないと主張してきた」とし、「誤射でなければ、民間船舶に意図的に被害を与える主体は事実上、イランしかいないが、政府は攻撃の主体を予断せず、追加の調査を続ける方針だ」と伝えた。

外交部は10日、サイード・クーゼチ駐韓イラン大使を呼び、調査結果を発表した。クーゼチ大使は説明を受けて外交部を後にする際、記者団の問いかけには無言を貫いた。

大統領府のウィ・ソンラク国家安保室長は11日、「民間船舶に対する攻撃は正当化も容認もできない」とし、「強く糾弾する」と述べた。その上で、「このような事件が再発しないよう関係国と意思疎通し、近隣の海峡に停泊するわが国の船舶と船員の安全を強化するため、さらに努力する」とし、「韓国を含む全ての船舶の安全の保障と自由な航行のため、国際社会の取り組みに引き続き参加する」と強調した。

また、チョ・ヒョン外交部長官(外相)は11日、外交部が発射の主体は予断せず、追加の調査が必要としていることについて、「慎重に確認すべきことがもう少し残っており、(その後に)それを判断しなければならない」と述べた。

だが、朝鮮日報によると、政府関係者は「攻撃の主体はイランと考えるのが現実的」との見方を示した。また、ある与党関係者は「今のこの状況で政府があいまいな態度を取り続ければ、現状から顔を背けていると見られかねない」と危惧(きぐ)した。
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