<W解説>韓国、39年ぶりの憲法改正は白紙に=大手紙「十分時間かけて議論を」と指摘
<W解説>韓国、39年ぶりの憲法改正は白紙に=大手紙「十分時間かけて議論を」と指摘
韓国で、39年ぶりとなる憲法改正が見送られることになった。国会は今月7日、与党側が提出した憲法改正案の採決を図ったが、保守系最大野党「国民の力」の議員が欠席し、投票不成立に。さらに同党はフィリバスター(長時間の討論による議事進行の妨害)を予告したことから、国会議長は手続きの中止を決めた。通信社の聯合ニュースは「1987年以来となる改憲の試みは白紙に戻った」と伝えた。

現行の韓国憲法は1987年の民主化時に成立した。改憲はユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領が2024年12月に出した「非常戒厳」による混乱などを踏まえ、「国民の力」を除く与野党6党が推進してきた。現行憲法は大統領が非常戒厳を宣言した際に国会に通告する義務や、国会が解除を要求できる手続きを定めているが、尹氏はこれに反して国会に軍や警察を投入して解除決議を妨害した。このため、改憲案は国会の権限をより強め、国会が戒厳を強く統制できるよう条文を変更した。改憲案はこれが柱だが、国家均衡発展に関する義務の明記なども盛り込まれた。

今年2月に世論調査会社の韓国ギャラップと韓国公法学界が共同で実施した世論調査では国民の7割が憲法改正に賛成している。

韓国では来月3日に統一地方選挙が行われることになっており、与党「共に民主党」などはこれに合わせて憲法改正の国民投票の実施を目指した。そのためには、今月10日までに改憲案を国会で可決させる必要があったが、最大野党「国民の力」は改憲の必要性には一定の理解を示しつつも、地方選挙に合わせた改憲推進は政治的だとして反発した。

今月7日、「共に民主党」は改憲案を国会本会議に上程したが、「国民の力」の議員が欠席し、投票不成立となった。韓国紙の朝鮮日報は翌8日付の社説で「共に民主党」が改憲案を独断で進めようとしていると言っても過言ではないと指摘。「改憲は国家の最高規範を変更する重大な事柄だ」とし、「そもそも野党の同意なしに強行すべきことではない」と批判した。今回の改憲案は与野党が比較的合意しやすい内容から先に改正する、「段階的改憲」として進められてきた。このことについて社説は「改憲は一度行うのも難しいのが現実だ。だからこそ、一度行うならきちんと行わなければならない」とし、「十分な時間をかけて議論し、国民的な合意を形成しなければならない」と主張した。

与党側は改憲案を再上程する方針だったが、「国民の力」がフィリバスターを予告したことから、ウ・ウォンシク国会議長は8日、再上程を断念すると明らかにした。ウ氏はこの日の本会議で「これ以上、議事を進めるのは難しいと判断した」とした上で、「6月3日の国民投票に向けた手続きも、今日を持って中断する」と表明した。

本会議後、「共に民主党」のハン・ビョンド院内代表は「改憲をフィリバスターまで持ち出して阻んだことは、国民から大きな批判を受けるだろう」と、「国民の力」を非難した。一方、「国民の力」のソン・オンソク院内代表は「否決された法案を(同一会期中に)再上程すること自体が『一時不再議』の原則に反するため、フィリバスターで対応せざるを得なかった」と述べた。また、大統領府のカン・ユジョン報道官は「国民が、国家の安全と民主主義を守るための最低限の改憲にまで反対した理由は納得し難いだろう」とした上で、「国民に約束した改憲論議は決して中断されてはならない」と述べた。

韓国紙の中央日報は9日掲載の記事で、与野党6党と「国民の力」の間で折り合えず、39年ぶりの改憲が見送りとなったことに、「予想された破局だった」と指摘。「与野党間の対話と妥協が不在の中で推進された改憲だったからだ」とした。
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