半導体メモリーの「スーパーサイクル」に伴い、AI供給網(サプライチェーン)の中枢であるサムスン電子とSKハイニックスの株価は、アジアでは台湾半導体大手のTSMCなどと共に上昇を続けている。サムスン電子は今月、時価総額が1兆ドル(約157兆9200億円)を突破した。サムスン電子の半導体事業を担うデバイスソリューション(DS)部門は、昨年1~3月期の営業利益が53兆7000億ウォン(約5兆6906億8000万円)、売上高が81兆7000億ウォンを記録し、四半期ベースでいずれも過去最高を更新した。SKハイニックスは今年1~3月(第1四半期)の営業利益が37兆6100億ウォンと過去最高を更新した。同社はAIへの投資需要によるメモリー価格の上昇サイクルが、今後もかなりの期間続くとみており、同社が強みを持つ広帯域幅メモリ(HBM)については今後3年間、需要が供給を上回ると予想している。同社は競合他社との技術格差を広げるための設備投資を増やす方針を示している。
両社の2027年度の法人税は100兆ウォンを大きく上回る見通しが出ている。半導体好況が長期化するとの見方が広がる中、今年の韓国の経済成長率は、当初の予想を上回る3%超になるとの予測が示されている。
こうした中、大統領府高官である金容範政策室長は12日、SNSに「AIインフラ供給網における戦略的位置づけが構造的な公共を生み、それが過去最大級の超過税収につながるのであれば、その資金をどう使うかは制度設計の問題だ」と投稿した。その上で金氏は「AI時代の果実は特定の企業だけの成果だけではない」とし、「その果実の一部は、全国民に構造的に還元されるべきだ」と主張した。金氏は1990年代にノルウェーが石油収益を政府系ファンドに積み立て、将来世代への資産に転換した事例にも言及した。
金氏の投稿には多くのコメントが付き、賛否両論を巻き起こした。韓国メディアの朝鮮ビズは「2025年6月にイ・ジェミョン(李在明)政権が発足して以降、金室長が投稿した記事の中で最も熱い反応だった」と伝えた。
金氏の主張は、AIインフラ時代に発生する莫大な利益を国民に還元する、いわゆる「国民配当金」制度を提唱するもので、金氏の投稿に、最大野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は「(この制度は)企業が多くの利益を上げれば、政府が強制的に徴収し、分配するというものだ」と指摘。「自分で努力して稼いだ金を政府が徴収し、分配するのなら、それはまさに共産主義の配給経済だ」と批判した。
金氏の投稿を受け、今月12日の韓国株は大きく変動した。投資家の間では、企業の利益に対する政府介入のシグナルだとする受け止めが広がり、同日の韓国株式市場ではKOSPIが6営業日ぶりに反落。前日比179.09安の7643.15で終えた。サムスン電子、SKハイニックスはそれぞれ2%安となった。
一方、金氏は投稿の趣旨について、企業の利益そのものを政府が徴収するという意味ではなく、AI産業によって増えた超過税収の活用策に言及したものだと説明した。また、イ・ジェミョン(李在明)大統領は13日、「超過税収を活用しよう」との金氏の主張を、一部メディアが「企業の超過利潤を国民に配当する案を検討すると主張した」と報じているとし、「世論操作のためのフェイクニュースだ」と批判した。
韓国紙の中央日報は14日掲載の記事で、「金室長の発言には半導体好況の影にある『K字型成長(二極化)』に対する青瓦台(大統領府)の苦悩があるとの解釈もある」と報じ、「経済の二極化は不況ではなく好況の時に進む。剥奪感を抱く多数の有権者を前に、青瓦台の考えも複雑になるはずだ」と話す、あるコンサルティング会社幹部の声を伝えた。また、与党「共に民主党」のキム・ナムグン議員は同紙の取材に「爆発的な成長の恩恵をどのように社会全般へ世広げていくのか、真摯に検討しなければならない」と指摘した。
Copyright(C) wowneta.jp
