<W解説>サムスン電子労組がスト予告=回避へ、本日の再交渉が事実上「最後の機会」
<W解説>サムスン電子労組がスト予告=回避へ、本日の再交渉が事実上「最後の機会」
韓国のサムスン電子で、半導体事業を担うデバイス・ソリューション(DS)部門を中心とする労働組合は、今月21日からのストライキの計画を維持すると15日、表明した。半導体事業が好況の中、労組は業績と連動させた賃金の引き上げなどを求めている。労使は政府の仲介で、11日から13日未明にかけて事後調停に臨んだが、決裂した。同社の創業以来2度目となるストが実施される可能性が高まっている。ストが実施されれば、世界有数の半導体メーカーである同社の生産に支障が出ることは避けられず、協力会社にも莫大な影響が及ぶのは必至だ。韓国紙の東亜日報は16日掲載の記事で、「AI半導体好況は、韓国経済が根源的競争力を回復できる絶対的機会だ。ストというオウンゴールで、この機会を逃してはならない」と訴えた。先週に決裂した事後調停だが、その後、同社労使は、本日18日に再開することで合意した。劇的な妥結に至るのか、注目される。

AIブームにより、サムスン電子は好業績を上げている。同社の今年第1四半期の営業利益は57兆2000億ウォン(約6兆1526億3200万円)となり、40兆ウォンだったコンセンサス(市場予想平均)を大幅に上回った。

業績好調の中、競合するSKハイニックスが2021年に営業利益の10%を成果給とする制度を導入。昨年には上限も撤廃した。こうした状況に、成果給の上限が年間基本給の50%に設定されているサムスン電子の社員たちは不満を募らせ、労組は上限を撤廃し、利益に見合った賃上げを求めている。

政府も仲裁に入って同社の労使間交渉が続く中、労組は13日、成果給の上限の撤廃が認められなかったとして、交渉を打ち切ったと明らかにした。

労組側は当初の予告通り、21日からストライキに入るとしており、政府は危機感を募らせている。産業通商部(部は省に相当)のキム・ジョングァン(金正官)長官は14日、SNSに投稿し、「ストで工場が停止した場合、1日に最大1兆ウォン(約1100億円)ほどの生産支障が予想される」とし、「現在加工中のウェーハに支障が出れば、最大100兆ウォンの被害が発生する可能性があり、1700余りの協力企業の被害は想像もできない」と懸念を示した。

同社の海外の取引先企業からも懸念の声が出ている。韓国紙の東亜日報が15日伝えたところによると、スマートフォンやパソコンの製造に必要なメモリ半導体を同社から供給を受けているアップルやHPなどは最近、サムスン電子に対し、ストが実際に行われる可能性や、それに伴う供給支障の規模、対応方針などを問い合わせたという。また、同紙は「労組が予告したストまで1週間を切り、サムスン電子は工場のシャットダウンに備えた生産量の調整に入った状態だ。ラインが正常稼働できなくなった場合の被害を最小限に抑えつつ、少人数でも生産を維持できるようシステムを整備した」と伝えた。

サムスン電子は15日、チョン・ヨンヒョン副会長やノ・テムン社長をはじめ幹部らの連名による声明を発表。「労働組合を家族、かつ運命共同体と考え、条件なしに開かれた姿勢で対話に臨む」とし、「労組側も国民の懸念や国家経済を考慮し、速やかに対話に応じるよう重ねて求める」と呼びかけた。

また、同社のイ・ジェヨン会長は16日、海外出張の日程を変更して帰国した。李氏は労組に対し「私たちは一つの身体であり、一つの家族だ」とした上で、「今こそ知恵を集め、力を合わせて同じ方向へ進むべき時だ」と訴えた。さらに、「厳しい風雨は私が受け止め、全て私の責任として引き受ける」とした。イ氏がストライキを控えたサムスン電子について公の場で発言したのは初めて。

こうした中、同社労使は先週に決裂した事後調停について、本日18日に再開することで合意した。聯合ニュースは「ストライキ回避に向けた最大の分水嶺を迎えることになった」と伝えた。
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