統一白書は、韓国統一部(部は省に相当)が毎年発刊している、前年の南北関係の動向と政府の統一・対北朝鮮政策の成果・方針をまとめたもの。今年は白書に初めて副題が付けられ「2026年統一白書:2025朝鮮半島平和共存の記録」と題して発刊された。統一部は昨年6月の政権発足当時は断絶状態だった南北関係を平和共存に転換させるとの意思を込めたとしている。
李氏は政権発足後、早々、国防部に指示し、南北軍事境界線付近に設置されていたスピーカーを使った北朝鮮向け宣伝放送の中止とスピーカーの撤去に着手した。対北宣伝放送は、対北強硬路線を取ったユン・ソギョル(尹錫悦)前政権の下で、一昨年6月に6年ぶりに再開された。放送内容は、韓国の民主主義制度が北朝鮮の政治制度よりも優れていることへのアピールや、北朝鮮の体制批判、韓国や海外のニュース、韓国の歌などだった。放送は北朝鮮軍の兵士に与える心理的影響が大きいとされる。白書では李政権下でこの放送の中止とスピーカーの撤去を行ったことや、脱北者団体が行っていた北朝鮮向けのビラ散布を中止するよう要請したことなどを主な成果として紹介。「軍事的緊張緩和と信頼回復に向けた措置を先制的・段階的に推進した」と説明した。
白書の第1章「朝鮮半島平和共存政策」では「(李政権は)北の体制を尊重し、吸収統一せず、敵対行為をしないという3原則を打ち出し、南北の平和共存と共同成長を追及する朝鮮半島共存政策を樹立した」と紹介した。これについて韓国紙のハンギョレは「北朝鮮が最近、南北を事実上の敵対的な二つの国家関係として既成事実化したことを現実として認め、その上で相互尊重と対話を続けていく意思が込められたものといえる」と指摘した。
一方、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は2023年12月末、同党中央委員会総会で、韓国との関係について言及し、「南北関係はもはや同族関係ではなく、敵対的な二つの国家関係、戦争中の二つの交戦国関係に完全に固着した」と述べ、「敵対的2国家論」を打ち出した。
その後、金氏は24年1月の最高人民会議(国会に相当)で、「今日、80年間の北南関係史に終止符を打つ」と宣言。「憲法上の『自主、平和統一、民族大団結』という表現が削除されなければならない」と述べ、韓国について「第1の敵対国、不変の主敵」と憲法に明記する必要性を強調した。そして、今年3月、北朝鮮は憲法改正を行い、韓国との統一に関する記述を削除し、韓国を「別の国」とみなす条項を加えるなどしたとみられることが、このほど報じられた。
こうした状況を受け、白書では、北朝鮮が南北関係を「敵対的な2つの国家」と位置付けている現状を見つめ、「統一を志向する平和的な2国家関係」への転換が必要だと強調した。
また、今回の白書では尹前政権時に発刊された白書に使われていた「北朝鮮の非核化」という表現ではなく、「核のない朝鮮半島」や「朝鮮半島の非核化」という表現が復活した。
韓国の通信社、聯合ニュースは今年の白書について「非核化ロードマップ『大胆な構想』や南北統一構想『統一ドクトリン』を中心に記述された尹錫悦前政権の統一白書とは基調と内容が180度異なる」と指摘。尹前政権からの政策の変化は、白書の中に登場する用語の使用頻度にも表れているとし、「序文と目次を除く本文を昨年と比較すると、『平和』または『平和共存』が登場した回数は昨年の29回から今年は196回に急増し、『会談』または『対話』も16回から58回に増えた。一方、『北朝鮮の人権』は156回から26回に、『自由』は43階から3回に急減した。『統一(部署名を除く)』または『平和統一』も457回から263回に減少した」と分析した。
発刊に際し、統一部のチョン・ドンヨン長官は「南北が平和に共存する隣人として、再び向き合うことを誓う」と述べた。
Copyright(C) wowneta.jp
