<W解説>ホルムズ海峡の韓国船攻撃、イラン製ミサイルの可能性=李政権が抗議以上の強い措置に出られぬ理由
<W解説>ホルムズ海峡の韓国船攻撃、イラン製ミサイルの可能性=李政権が抗議以上の強い措置に出られぬ理由
先月、ホルムズ海峡で韓国の貨物船が飛翔体の攻撃を受けたことについて、韓国政府は先月27日、イランで開発された対艦ミサイルによる可能性が高いと発表した。政府はイランのサイード・クーゼチ駐韓大使を呼び出して抗議した。しかし、クーゼチ大使はイランの関与を否定した。こうした中、政府は対応に苦慮しているとみられる。同海峡には依然として複数の韓国の船舶が足止めされていることから、これら船舶の安全を第一に考える必要があり、イランとの対立する事態を避けようと、大使に抗議する段階にとどめている。

同海峡をめぐっては、イランが3月、米国・イスラエルによる攻撃に対抗し、事実上、封鎖した。各国の石油タンカーが足止めされ、世界の原油価格が上昇。韓国でも石油価格の高騰が続いている。

こうした中、先月4日、海峡付近に停泊していた韓国海運最大手、HMM(旧現代商船)の貨物船「ナム号」が爆発、炎上した。韓国人6人と外国人18人が乗船していたが、けが人はいなかった。直後にトランプ米大統領はイランが攻撃したと主張。一方、在韓イラン大使館は、「イラン軍の関与に関するいかなる疑惑も断固として否定する」との声明を発表した。

その後、韓国政府は、貨物船が爆発・炎上した原因について、未詳の飛翔体による打撃だと発表し、発射主体の特定など追加の調査を進めた。

先月27日、韓国政府は、貨物船に衝突したのはイラン製の対艦ミサイルだった可能性が高いとの調査結果を発表した。政府は貨物船から発見された飛翔体のエンジンや弾頭、爆薬、機体などの分析結果や、それらを撮影した写真などを提示。ミサイルのエンジンがイラン製に酷似しており、部品にはイランの製造元の刻印と推定されるものが確認されたとした。外交部(外務省に相当)のパク・ユンジュ第1次官は「様々な証拠がイランによる攻撃を示唆している」と述べた。

パク氏はクーゼチ駐韓イラン大使を呼び、調査結果を説明した上で抗議し、再発防止を含む責任ある措置と謝罪を求めた。これに対し、大使は遺憾の意を示したものの、攻撃への関与については否定した。

韓国政府は弾頭の形状や塗装などの特徴からイラン製の対艦ミサイルだったと結論づけたが、攻撃の主体についてはイランとは特定しなかった。このことについて韓国紙のハンギョレは「依然としてホルムズ海峡に足止めされている25隻の韓国船舶やイラン国内の在留韓国人の安全、イランとの外交関係などを総合的に考慮したとみられる」と指摘した。調査結果を発表した前出のパク次官は「韓国船舶の安全や在外国民の保護などに関する対話も(イランと)進めていく」とも述べた。

米国とイランとの間では、戦闘終結に向けた詰めの協議が行われているが、同海峡の扱いをめぐって難航しているとされる。米イランが暫定合意した「覚書」には、同海峡を段階的に正常化する計画が盛り込まれており、米国のベッセント国務長官は「ホルムズ海峡は自由な航行が確保されなければならない」と改めて強調した。

一方、米国のブルームバーグが先月30日に報じたところによると、2月28日の戦闘開始以降、足止めされた大型タンカー(積載能力70万バレル以上)109隻のうち、これまでに29隻が同海峡を通過したという。ブルームバーグは「位置情報を発信する装置の電源を切っている船舶も多く、実際に海峡を通過した隻数はこれを上回る可能性がある」と伝えた。また、仏AFP通信が先月29日、大手海運専門誌ロイズ・リスト発表のデータを基に報じたところによると、同海峡を通航する船舶のうち、イランの所有権と関連のない船舶の割合が上昇している。同誌のアナリスト、ブリジット・ディアクン氏は取材に「先週(5月第4週)、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、韓国、そしてノルウェー船籍の船舶がペルシャ湾を通航し、(ホルムズ海峡から)出ていくのを確認している」と話した。

ブルームバーグによると、船主の間では同海峡の通航回復に対する楽観的な見方も広がっているというが、依然、予断を許さない状況だ。米石油大手シェブロンのマイク・ワース最高経営責任者(CEO)は先月29日、同海峡を航行する複数の船舶がここ数日で攻撃を受けたと明らかにした。

イランによる同海峡の事実上の封鎖以降、韓国は紅海を経由するルートを代替ルートとして活用し、原油を輸送している。先月、紅海を通過した韓国タンカーが相次いで韓国に到着した。しかし、紅海は親イラン武装組織フーシ派の主な活動地域で、国際的に航行リスクが高い地域とされる。だが、同海峡の代替となる事実上唯一の迂回ルートなため、韓国政府は中東情勢が安定するまで、当面はこのルートを使って原油の輸入を続ける方針だ。

各国の船舶が安心してホルムズ海峡を通過できる日は、いつになるのか。
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