韓国での「親日派」は「日本に親近感を持つ人」「日本に好感を持つ人」を意味しない。「植民地時代に日本に協力した売国奴」といった意味合いで使われている。これまで親日派は韓国社会で優遇されてきたため、現代社会を生きる親日派の子孫も裕福な人が多い。「独立運動をすれば3代が苦しみ、親日をすれば3代が栄える」という言葉もあり、今月勃発したハヨン氏の曽祖父をめぐる騒動は、この言葉が持つ意味を改めて考えさせられる。
ハヨン氏は今月7日に出演したバラエティ番組で自身が「4代続く医師の家系」であることを明かし、曽祖父については「漢陽(現ソウル)で初めて西洋式医院を開院し、コジョン(高宗)皇帝を診察した」などと紹介した。しかし、これが思わぬ騒動に発展した。放送後、ハヨン氏の曽祖父は日本統治時代に医師をしていたアン・サンホで、アンは親日団体の評議員を務めていた人物との情報が広がり、たちまち「親日」をめぐる論争となった。ハヨン氏のバラエティ番組での発言は視聴者らには「お家自慢」と受け止められ、「独立有功者の子孫は苦労し、親日派の子孫は羽振り良く暮らしている」という世間の「親日」への不満も相まって批判の矛先はハヨン氏に向かった。
ハヨン氏は12日、自身のSNSに謝罪文を公開。「無知なまま曽祖父の話を家族の誇りとして語ってきた。資料を調べる中で親日的な行跡を知った」とした上で、「知らなかったからといって歴史的から目を背ける理由にはならない。過ちを重く受け止め、子孫として心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
この騒動をきっかけに、自分の先祖が「親日」だったかを検索できるサイト「親日派スキャナー」の利用が急拡大した。同サイトで利用者が名字と本籍地を入力すると、同じ本籍の親日行為者の名簿などが表示される。ネット上では検索で先祖の名前が出てきて困惑する声や、「ハラハラしながら検索したが、親日は0人だった」などと安堵(あんど)とも受け取れる声も上がった。
曽祖父が「親日」であることで激しいバッシングを受けたハヨンさん、また、その騒動がきっかけで自分の先祖が対日協力していなかったか、韓国で恐る恐るサイトを検索する人が相次ぐ光景は、日本の植民地支配からの解放から81年が経っても「親日断罪」が依然続いていることを改めて浮き彫りにした。
だが、韓国紙のハンギョレによると、メディア社会学者のパク・クォニル氏は同紙への寄稿で、行き過ぎた親日への断罪を指摘した。パク氏は世間からバッシングを受けたハヨンさんについて「問題となったのはハヨンさん本人ではなく先祖の過去であり、自身の『無知』を認めて謝罪文まで書いていることを考慮すれば、『活動停止』や『芸能界からの退場』要求は行き過ぎだ」とした。「連座制」が適用されるという一部の主張に対しては「連座制であれば、家族の問題によって当事者が刑事罰または行政上の不利益を受けていなければならない。当然そんなことはなかった」と反論した。
また、パク氏は「ハヨンさんに対する批判は『腹が痛い(成功している者をねたむこと)』から来るものだという一部の皮肉はばかげているが、一抹の真実が含まれている」とも指摘した。格差社会が進む韓国。前述した「独立運動をすれば3代が苦しみ、親日をすれば3代が栄える」との言葉があるように、親日の子孫に牙をむける韓国社会の風潮は、歴史問題を利用したやっかみの側面もあるのではないだろうか。
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