<W解説>米朝首脳会談実現ならトランプ米大統領は「手柄」、韓国などは負担増の可能性
<W解説>米朝首脳会談実現ならトランプ米大統領は「手柄」、韓国などは負担増の可能性
米国のトランプ大統領が北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記との対話再開に意欲を見せる中、韓国紙の中央日報は「手柄はトランプ、勘定は韓国?…朝米ビッグディール後の『請求書』に懸念」との見出しで、「朝米対話が実現すれば、『北朝鮮核談判』はトランプ米大統領が主導し、北朝鮮に提供する経済的な対価は韓国が相当部分を負担する可能性があるとの見方が出ている」と伝えた。トランプ氏は今月19日(現地時間)、年内に金氏と会談する意向を示した。米朝首脳会談は2019年以降、行われておらず、実現すれば約7年ぶりとなる。

トランプ氏はかねてから金氏との4回目の会談に意欲を示している。昨年1月には米ニュース専門放送局FOXニュースのインタビューに、金氏について「私は彼と仲が良かった。彼は賢い男だ」と述べた。「金総書記とまた接触を図るのか」との記者の質問に、「そのつもりだ」と返答した。

トランプ氏は昨年10~11月に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせてアジアを歴訪。これを前に、トランプ氏は「金正恩総書記に会いたい」と語っていたことから、電撃的に米朝首脳会談を行うのではないかとの見方が広がった。しかし、結局、実施されることはなかった。トランプ氏は当時、日本での3日間の日程を終え、次の訪問国の韓国に向かう際、「北朝鮮とは常に良好な関係を築いてきた。いつかは会うことになるが、(今回は)日程的に非常に厳しい」と述べた。トランプ氏は今年5月には中国を訪問し、習近平国家主席と米中首脳会談を行った。この際も金氏が中国入りし、米朝首脳会談が設定される可能性が浮上したが、行われることはなかった。

韓国は米朝の早期の対話再開を望んでおり、今年6月、主要7か国首脳会議(G7サミット)の関連行事に出席した韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領は、トランプ氏と短時間言葉を交わし、「中東の戦争を解決したように、北朝鮮問題の平和的解決を主導してほしい」と要請した。これに対し、トランプ氏は問題の解決に向けて努力する意向を示したとされる。

トランプ氏は今月17日、ホワイトハウスで記者団に対し、金氏が米側による対話の働きかけに対して前向きな反応を示したと主張した。翌日に米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じたところによると、トランプ氏は金氏との会談をこの秋にも実現させるよう側近らに働きかけているという。当局はトランプ氏が次にアジアを訪問する際に会談を設定することを非公式に協議しているとされ、現時点で公式な計画は進んでいないものの、11月に中国の深センで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせたアジア歴訪の期間中に会談が設定される可能性がある。19日、トランプ氏は記者団からの「金総書記と今年後半に会談するか」との質問に、「その予定だ」と語った。

トランプ氏は24日には、自身のSNSに金氏とのツーショット写真を3枚投稿。いずれも過去に行った首脳会談の際に撮影された写真とみられる。韓国の通信社、聯合ニュースは「金氏に良好な関係を想起させ、対話に応じるよう促す意図があると受け止められる」と伝えた。

2019年以来の米朝会談が実現するか注目が集まる中、韓国紙の中央日報は会談が実現すれば、トランプ氏は「請求書」として韓国などに北朝鮮への支援費用を求めてくる可能性があると指摘した。トランプ氏は第1次政権時から北朝鮮への支援費用は周辺国が負担すべきとの考えを示してきた。18年6月の会談後の記者会見でも、トランプ氏は非核化の費用を誰が負担するのかとの質問に「韓国と日本が北朝鮮を大いに支援するだろう」と答えている。

トランプ氏が金氏との対話再開に強い意欲を見せる背景には、11月に中間選挙を控える中、イラン戦争の長期化により原油価格や物価が上昇していることなどへの不満から、支持者離れが起きている状況下、目に見える成果を短期間のうちにつくり出したいとの思惑があると指摘されている。

会談が実現すれば、トランプ氏の「手柄」となり、韓国をはじめとする周辺国は前述のように対北支援の負担を強いられる可能性があるが、核開発を進める北朝鮮に待ったをかけるには「トランプ氏頼み」にならざるを得ないのが実情だ。聯合ニュースによると、韓国統一部の高官は21日、「現在も北の核能力は増強されており、南北関係が行き詰まっている現実の中で、この問題(北朝鮮の核問題)を動かす原動力は米朝対話の再開以外に何があるのか」と指摘。「米朝対話を通じ、朝鮮半島の不安定な休戦体制を変えようとする壮大な構想が動き出すだろう」と期待を示した。
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